オーストリアワインのランク

先日オーストリアワインというタイトルで、オーストリアワインの基本的な姿と生産地域や面積などについて紹介しました。

今回はオーストリアワインのランクについてまとめてみました。
 
オーストリアワインはヨーロッパワイン法に基づいてはいるものの、自律性があり、原産地統制、収穫量、称号などを維持しています。
オーストリアのワイン法はEUのワイン法よりも厳格です。
ワインボトルを見た時の大きな違いは、オーストリアのどこで作られたかが細かく記されているか、いないか、ボトルのコルク栓に赤・白・赤のオーストリアの国旗があるかないかです。
  
ここで紹介するワインランクは、オーストリアのどこで作られたかを始め、様々な情報がラベルに記されているワインの場合で、ゲルマン式に基づいています。

よくどこどこ地方の何とかワイン・・・何て言い方をしますが、オーストリアワインの基本的なランクは、収穫目前のぶどうにどのくらいの天然糖度が含まれているかによってランクが決まります。

このランクはブドウの品種などは全く関係なく、糖度と原産地で決まります。
この糖度をKMW (Klosterneuburger Mostwaage)といいますが、1Lの中にどのくらいのKMWが含まれているかによってランク名が定められています。
 

 

・Wein (以前のターフェルワイン)  10.7° KMW 〜14° KMW 未満 アルコール度最低でも8.5%
 
・Landwein  (ラントワイン) 14° KMW〜 15° KMW 未満 アルコール度8.5%以上
 
・Quaritätswein  (クヴァリテーツワイン)15° KMW〜17° KMW未満 アルコール度9.0%以上
 
・Kabinett  (カビネット)17°KMW 〜19° KMW未満 アルコール度12.9%未満
 
これより先はPrädikatswein(プレディカーツワイン)と総称して呼ばれます。
 
・Spätlese (シュペートレーゼ) 19°KMW〜21° KMW未満
 
・Auslese (アウスレーゼ)  21° KMW〜25° KMW未満
 
・Beerenauslese (ベーレンアウスレーゼ) 25°KMW 〜27° KMW未満
 
・Eiswein (アイスワイン) 25° KMW 以上  
      凍ってる状態でプレスをするため−8°以下でないと25°に達しない
 
 
・Strowein / Schilfwein (シュトローワイン、シルフワイン) 25° KMW  以上
      最低3ヶ月は藁や葦の上,紐に吊るし天日乾燥させる
 
・Trockenbeerenauslese (トロッケンベーレンアウスレーゼ/貴腐ワイン)30°KMW 以上
 
            
※ Wein(以前のTafelwein) は現在"産地表示無しワイン"と呼ばれています
※ Landwein のクラスは "Weinland", "Steirerland", "Bergland"の大きく分けた3つの地域のどれかが入ります
 

 

生産許容量も定められていて、1ヘクタール当たり10.000kgのブドウ量、
もしくは1ヘクタール当たり7.500リットルとなっています。
これを超えた場合は産地なしのワインとして格下げされます。

 

ワインから貴腐ワインに行くほど、手間暇がかかり、しかも十分な果汁分を得るためにはたくさんのブドウも必要ですので必然的に値段が高くなり、生産量も少なくなっていきます。

貴腐ワインやアイスワインはその年の天候にも大きく左右されますので、毎年作られるわけではありません。

貴腐ワインにいく程高級ワインになるわけですが、しかしお酒が好きな方にはいくら値段が高いワインだからと言っても、甘口ワインはあまり好まれないでしょうから、辛口のアルコール度たっぷり系のボリュームあるワインがいいでしょう。

 

次回は オーストリアワインの辛さ、甘さについて触れたいと思います。