ウィーンフィル ニューイヤーコンサート(2024年)覚え書き

今日は年明け恒例のウィーンフィル ニューイヤーコンサート2024年の覚え書きです。

ニューイヤーコンサートが始まるのはウィーン時間の午前中11:15、日本だと19:15ですね。

今年は新年早々に地震があったことから予定されていた多くの番組が急遽取り止めになったので、ニューイヤーコンサートも日本ではライブ中継されなかったようですね。

自分は1月1日は仕事をしていましたが、観光中シュテファン大聖堂の所でちょうどニューイヤーコンサートをライブ映像で流していて、少しそこで立ち止まって皆さんと観ましたが、家に帰ってから録画してあったものをゆっくり観ました。

 

個人的にニューイヤーコンサートは過去LIVEで見たこともありますが、御存知の通りチケットの値段だって普通のコンサートよりも正規価格でも遥かに高いですし、入手困難ですからね・・・。

でも毎年11月ぐらいから地元の色々なチケット取り扱い業者から「うちはニューイヤーのチケットが数枚あるから行きたい人がいれば売れますので連絡下さい」というような電話やメッセージが私の所に届きます。

でもその時の提示価格は正規価格よりも倍ぐらいの高さになっています。

そのような業者ルートから数枚であれば比較的簡単にチケットは入手できますので行く気になればほぼ確実に行けますが、価値観の問題ですね~。

2.000ユーロ以上を一枚のチケットに払うか・・・ということですね。

 

さて、テレビで見るニューイヤーコンサートは楽しいです。

途中に色々な演出があり、会場では見ることができない映像が見られますからね。


今年のニューイヤーコンサートは66回目の生中継で、去年はウィーン世界万博がテーマでしたが、今年はブルックナー生誕200年とザルツカンマーグートのBad Ischlが2024年ヨーロッパ文化中心都市(Kulturhauptstadt Europas) に選ばれたことでした。

例年通り今年もバロック時代の作曲家マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704)のEurovisionから始まり、リンク道路付近を上から見た映像から見て、シュテファン大聖堂が最初に登場し、カメラが移動してホテルインペリアル、そして楽友協会ホールの建物が映し出され、この正面入り口の扉が開いて視聴者も中に入って行くようなお決まりで始まりました。

 

 

 

指揮はChristian Thielemann(クリスティアン・ティーレマン)で、ニューイヤーは2019年以降2回目になります。

彼はドイツのベルリン出身で今年ちょうど65歳になります。

まだベルリンの壁があった頃に生まれた方で、ベルリンの西側出身です。

2019年の時はベルリンの壁が崩壊したちょうど30周年記念でもありました。

ウィーンフィルとの関係は2000年より続いていて、多くの客演を重ねています。

 


今年の最初の演目はKarl Komzák Erzherzog Albrecht-Marsch, op. 136で始まり、

2.Johann Strauß II. Wiener Bonbons. Walzer, op. 307

3.Johann Strauß II. Figaro-Polka. Polka française, op. 320

4.Josef Hellmesberger (Sohn) Für die ganze Welt.

5.Walzer Eduard Strauß Ohne Bremse. Polka schnell, op. 238

 

この後恒例の休憩です。


この間にお茶の間に流される映像が毎年皆さんが楽しみにしているんですね。

今年は "ブルックナー生誕200年" というテーマでブルックナーの心の故郷と言われたリンツのそばにあるフローリアン修道院から始まりました。

ここの少年合唱団の子供たちが勢いよく修道院内を駆け抜けて行き、2人の少年が屋根裏部屋のような所でブルックナーのコインをルーペで観察します。

近くにあるピアノの鍵盤を叩いてそこから自動演奏が始まって、2人の少年が消えます。

この時Nachspiel d moll WAB126が演奏されます。

ザルツカンマーグートのトラウン湖の船上でオルガン演奏のシーン、2人の少年が図書館、修道院の見学路、ブルックナーの大オルガンとブルックナーの肖像画が登場し、ブルックナー生誕の地Ansfeldenの生家、ここでは交響曲第8番cmollの終楽章W108が演奏されます。

Musik Theater Linzに場所が変わり、そこで少年の1人が上からパンが入っていたケースの蓋を落としてしまいます。

楽団に交じって2人でチューバを持って一緒に演奏に加わり、その後はリンツの街が美しく映し出されます。

リンツも改めていい所だなと思わせる映像で、旧大聖堂、中央広場、新大聖堂、州庁舎、教区教会、ドナウ河などが登場します。

その後はAnton Bruckner Privat Universität、Ecce sacerdos magnes a moll WAB013が流され、

Ars Electronia Center Linzに入って、その後はWindhaagで民族ダンス、Bad Ischlも紹介され、WindhaagのAlte Schule...ここではブルックナーが1841~1843まで教員をしていました。

その後少年達は気球に乗って、Brucknerhaus Linzで弦楽五重奏F Dur WAB112が演奏され、Wilhering修道院へ。

ここはブルックナーが夏の休暇でよく滞在した所で、作曲もし、ここのオルガンは彼のお気に入りの楽器のひとつでした。

Styerのブルックナー広場...このStyerにもブルックナーは晩年何回も滞在しています。

その後場面はウィーンになり、ぶどう畑からウィーンの街が見えるのですが、個人的にブルックナーの最後の場所が登場すると思ったのですが、市立公園のブルックナーの記念像と楽友協会の中にあるブルックナー像ぐらいで、交響曲第3番 d moll WAB103が演奏されました。

その後再びフローリアン修道院の少年合唱団に戻り、教会でLocus iste WAB023が流され、彼の棺で終わる内容となっています。

ウィーンでのブルックナーのゆかりある場所はほとんど出て来ませんでしたが、Oberösterreichの美しい所が多く紹介され、映画のような演出になっていて面白かったですね。

 


そして後半です。

6.Johann Strauß II. Ouvertüre zur Operette "Waldmeister"

7.Johann Strauß II. Ischler Walzer. Nachgelassener Walzer Nr. 2

ここではBad IschlのKaiservillaとMarmorschlösslでのウィーン国立歌劇場バレエ団によるバレエが流されました

 

8.Johann Strauß II. Nachtigall-Polka, op. 222

9.Eduard Strauß Die Hochquelle. Polka mazur, op. 114

10.Johann Strauß II. Neue Pizzicato-Polka. op. 449

11.Josef Hellmesberger (Sohn) Estudiantina-Polka aus dem Ballett "Die Perle von Iberien"

12.Carl Michael Ziehrer Wiener Bürger. Walzer, op. 419

ここではルネッサンス様式の美しいお城Rosenburgが登場します

 

13.Anton Bruckner Quadrille, WAB 121 (Orchestr. W. Dörner)

もともとはピアノの連弾曲ですが、オーケストレーションに編曲したものが演奏されました

 

14.Hans Christian Lumbye Glædeligt Nytaar! Galopp

デンマークの作曲家でワルツやポルカなどを多く残しています

 

15.Josef Strauß Delirien. Walzer, op. 212

 

 

以上でオフィシャルプログラムは終了となり、アンコールに入ります。


 

アンコール1曲目は

16.Josef Strauß  Jokey-Polka schnell op.278

 

そして美しき青きドナウの序奏が始まり・・・伝統通り、演奏がストップされThielemannさんが世界の聴衆に向って挨拶を述べ、ウィーンフィルと私から新年おめでとう...Prosit Neujahr! の挨拶でした。

 

17.Johann Strauß II.  An der shcönen blauen Donau, Waltzer 0p.314

美しく青きドナウです。

 

最後はもちろん

18.Johan Strauss Vater  Radetzky-Marsch"    op.228  ラデツキー行進曲です。

 


ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが行われる場所は楽友協会の黄金の間です。

このホールは世界で最も音響がいいホールのひとつで、ウィーンフィルの本拠地となっていて、私も年間を通してよくこのホールの案内をしていますが、ニューイヤーコンサートの時は花が飾られ綺麗に装飾されますから普段とは全く違います。

 

ニューイヤーコンサートは3回あるということはあまり知られていないようですね。

12月30日、31日、1月1日の3日間で、3日間とも同じ顔触れで同じ内容で行われますが、1月1日だけは世界に生中継で、また他の2日間から比べればチケットも高くなっています。

 

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの始まりはクレメンス・クラウスの指揮で、1939年の大晦日でした。

つまりニューイヤーコンサートではなかったわけです。

しかし、次の年1940年大晦日と翌日1941年1月1日と2日続けてコンサートが行われ、その時からニューイヤーコンサートが始まったというわけです。