ウィーンでまだ活躍しているパーテルノステル(循環式エレベーター)

パーテルノステルを御存知ですか?

パーテルノステル(Paternoster)は循環式のレトロなエレベーターです。

循環式なので利用する人がいなくても止まることなく常に上下しています。

2つのエレベーターシャフトがあり、左が昇りで、右が下りです。

止まることがないため、カゴが来たらタイミングよく乗る、目的の階に来たらタイミングよく降りないと行けません。

そのため扉も存在しません。

ウィーンの街には未だに7つのパーテルノステルが活躍していて、今日はそのひとつを動画で御覧下さい。

 

 

 

このタイプはイギリスから発展したもので、1876年にロンドンのGeneral Post Officeに設置されたものが世界で最初と言われています。

でもこれは小包など郵便物の輸送を目的としていました。

1882年にイギリス人のPeter Hartが人間を輸送するための循環式エレベーターにアイデアを発展させ、1884年に最初に J. E. Hall社によって登場しました。

 

これを初めて見たらレトロな雰囲気で結構感動します。

私は30年近くウィーンに住んでいますが、ウィーンに住み始めた当初にウィーン大学で見たのが最初でした。

面白くて何回か行ったり来たりしたのを覚えています。

パーテルノステルはオーストリア、ドイツ、スイスなど、ヨーロッパでは1920年代よりかなり普及しました。

特にドイツには多く残されています。

 

オーストリアではウィーンのSchwarzenbergplatzにあるPaternosterが1910年製で、現在利用されているものでは世界で最も古いということです。

ウィーンでは全部で7つのPaternosterが現在でも活躍していますが、オーストリアでは1960年代より、新しいPaternosterを設置することが禁止となりましたので、残っているものだけということになりますから、これは貴重です。

 

速さは秒速20cm~25cmで、止まることがないので一番上、一番下に来た時にはどうなるのか興味深い所です。

もちろんかごがひっくり返るわけではなく、スライドされて循環していきますからどこかの階で降りなければずっと回り続けていることになるわけです。

 

Paternosterの長所は待ち時間が無く、近い階同士の移動がすぐにできますが、短所は離れた階への移動に時間がかかること、安全性に問題があること、物の輸送が出来ないこと、身障者に不向きであること、乗り降りする時に集中力が必要であること、などやはり現在では短所が多いわけですね。

 

 

 

 

 

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