新年に豚やてんとう虫を贈る習慣(2023年)

昨日の元旦は1年の最初の日ということで休みではありますが、こちらでは何か重要な意味を持っているわけではありません。

 

年間を通して生活の中で一番重要な習慣はクリスマスです。

そのため今日1月2日から社会が普通に動きます。

とは言っても学校はクリスマス休みなので、それに合わせて1月6日から仕事をする人も多いと思いますが、今年の6日は金曜日なので、実際は9日の月曜日から仕事を始める人が多いでしょう。

 

カレンダーでのクリスマスが終わるとウィーンの街中には待ってましたと言わんばかりに小さな屋台が登場します。

そこではクリスマス市の屋台で見られるような物が売っているわけではありません。

見ると様々なスタイルの豚やてんとう虫などの置物が売られていることがわかります。

 

これらはGlücksbringer(グリュックスブリンガー)と言われ、いわゆる幸せをもたらす物とされています。

これを元旦に贈ることによって "この1年またいいことがありますように" とか"健康で無事に過ごせますように・・・"といった意味があります。

豚はすでにゲルマン民族では聖なる動物と見なされていました。

例えば北欧ゲルマンの女神Freyaは豚が聖獣であり、別名Syr、これはドイツ語のSau(豚)を表します。

ギリシャ神話に登場する女神デーメーテールのために豚が捧げられています。

ヨーロッパ文化圏では一般的にぶたは、豊かさのシンボルです。

Glücksschwein (幸せのぶた)は、その古来の習慣から、多産の象徴であると同時に幸せをもたらすもの・・・とされたわけなんですね。

 

今年も幸せがもたらされるように、こちらでは元旦には豚肉を食べたらよいとされています。

昔は豚肉は限られた人しか手に入れられなかったもので、極稀にしか食べることができませんでした。

そのため豚を持っている人は、「豊かで幸せである」と見られていたんですね。

 


 

てんとう虫も豚と並んでとてもポピュラーな新年の贈り物です。

中世の頃、てんとう虫が聖母マリアに捧げられて以来、Glückskäfer(グリュックスケーファー)とも呼ばれ、幸せをもたらすものとなっています。

てんとう虫はドイツ語ではMarienkäfer(マリーエンケーファー)といいますが、名前には"マリア"が登場しますね。てんとう虫に何かしたり、ましてや殺したりしたら災いがもたらされるとされています。

特に赤の7つ星のてんとう虫は、魔女と不運を外に出して遠ざけるという意味があります。

7という数字は一般的にもラッキーな数字でもあります。

 

またてんとう虫が飛んできたら、その飛んできた子供を守り、病気を治すとされています。

その時は絶対に払い落としたり、殺したりしてはいけません。災いがやって来るとも言われています。

てんとう虫も幸せをもたらすものですが、子供を守り、病気を治すことから健康と結びついているわけです。

 

豚やてんとう虫が伝統的だと思いますが、近年ではそれ以外色々なGlücksbringerが登場しています。

ウィーンでは12月27日から毎年だいたい同じ場所にGlücksbringerを売る屋台が登場します。

 

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