ウィーンに初めて観光に来られて、シェーンブルン宮殿を訪れない方はまずいないでしょう。
シェーンブルン宮殿はヨーロッパで重要なバロック建築であり、世界遺産にも登録されています。
団体ツアーの場合は必ずと言っていい程シェーンブルン宮殿の観光が含まれていますし、個人のお客様ともシェーンブルン宮殿の中だけを2時間以上かけて見ることもあります。
そういう意味ではシェーンブルン宮殿は私にとっては仕事場のひとつですので、ここの係とも皆顔見知りです。
そのシェーンブルン宮殿では毎年2回の避難訓練があり、ここを案内するオーストリア国家公認ガイドは必ず1回参加する義務があります。
最後の避難訓練は2019年の1月でした。
コロナのおかげで2020年、2021年は行われず、そして今年2022年10月12日に3年以上ぶりに避難訓練がありました。
この日に申し込んでいたのですが、仕事が終わるのが遅く、避難訓練に間に合わないことが事前に分かったため、2度目の11月24日に変更してもらいました。
シェーンブルン宮殿を案内するためには、シェーンブルン宮殿が発行しているシェーンブルン宮殿のライセンス(IDカード)が必要です。
シェーンブルン宮殿は2016年9月より宮殿を案内するための資格試験制度を導入しています。
そのためオーストリア国家公認ガイドになっても、シェーンブルン宮殿を案内するためにはここの資格試験をまた別に受けなければいけないわけですね。
私はもっと以前からIDカードを持っていましたから試験を受ける必要はありませんでした。(笑)
オーストリア国家公認ガイドとして働くためには、シェーンブルン宮殿が案内できなければ話にならないので、たいていのオーストリア国家公認ガイドはシェーンブルン宮殿のIDカードを所有しているはずです。
この避難訓練はもう私達の中では毎年恒例の行事となりました。
シェーンブルン宮殿は多い時には一日1万人を超える入場者があります。
(あくまでも宮殿入場だけで、庭園を含めれば倍以上の数になります)
一般公開されている40室は個性あり、大きい部屋もあれば小さい部屋もあり、宮殿内の順路が決まっています。
万が一に備えて国から定められている避難訓練が毎年必ず行われるわけです。
今回は11月24日の18:00から始まりました。
私はその前にこのシェーンブルン宮殿のクリスマス市でライブオンラインツアーをやって、少しクリスマス市をぶらぶらして同僚と話しながら宮殿へ行きました。
集合場所はシェーンブルン宮殿の大広間です。
一般入場が終わった後ですから、関係者以外は入ることができません。
ここは頻繁に来る仕事場のひとつですので、宮殿で働いている人皆とも顔見知りですし、私にとっては自分の庭のようなものです。
この避難訓練の時は同僚達がたくさん来るので仕事で来る時とは空気が全く違っています。
上の写真は避難訓練が始まる前の大広間の雰囲気で、集まっているのは全員オーストリア国家公認ガイドとシェーンブルン宮殿や売店で働いている皆さんです。
ウィーンだけでなく、他の州から来る同僚も多いです。
この避難訓練に参加しないとシェーンブルン宮殿のIDカードが更新されませんので、参加は義務ですね。
シェーンブルン宮殿の見学予約が入っている団体ツアーでも、担当国家ガイドがいないとチケットを発行できないシステムになっています。
個人で国家公認ガイドと観光する場合は、ガイドがシェーンブルン宮殿の予約をできますから問題ありません。
オーストリア国家公認ガイドはウィーンに現時点では約1.000人いて、全員オーストリアが定めた国家試験をクリアーし、その大部分が個人事業主としてそれぞれのペースで仕事をしています。
そのため、この避難訓練は普段仕事中に街中で会う同僚達のある意味では集まりでもあるわけです。
20年以上も前に一緒に学んだ同僚達に会うので、なんか同窓会みたいな空気を感じることもあります。
皆、オーストリア政府の規定による国家試験準備コースを経て、国家試験をクリアーした同僚達ですからひとつの絆のようなものがあるわけですね。