昨日はオーストリアの国旗と国章というタイトルでオーストリアの国旗の赤・白・赤の由来について書きましたが今日はその続きです。
通常のオーストリアの赤・白・赤の国旗の真ん中に国章が入る場合があります。
その意味について触れてみたいと思います。
上の左の写真は国会議事堂で、その上のはオーストリアの国旗が掲げられています。
よく見ると国旗の真ん中に黒っぽいものが入っています。
右側はベルヴェデーレ宮殿の前に掲げられた、オーストリア国家条約締結60周年記念の時のものです。やはり国旗の真ん中に黒っぽいものが見えますね。
ちょっと拡大するとこのようなものが描かれていることがわかります。
これはBundeswappenと呼ばれ、Bindenschild (ビンデンシルト)を真ん中に掲げたオーストリアの鷲です。
歴史的に双頭の鷲を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、そうではなく単頭です。
国旗の真ん中に、宙に浮かんだ、単頭で、赤い舌を出し、黄金の城壁冠をかぶった鷲です。
鷲の右の触手には金のかまが、左の触手には金のハンマーを持ち、それぞれ引きちぎられた鎖が描かれています。
鷲はオーストリアの国家主権を表し、その鷲はBindenschildを持っています。
金の城壁冠はブルジョアを表し、かまは農民、ハンマーは労働者を表します。
引きちぎられた鎖はナチスからの独裁政治解放を表します。
この国章は、1918年ハプスブルグ帝国が崩壊した次の日の11月12日にドイツオーストリア民主主義共和国としてスタートし、その翌年の1919年にオーストリア共和国となってから導入されたものです。
1934年~1938年には双頭の鷲が再び導入されますが、オーストリアは地図上から消されてしまい、第2次世界大戦へと巻き込まれることになります。
終戦後、ナチスから解放された1945年に引きちぎられた鎖が追加されました。
この国章は、Österreichische Bundeswappen とか、Österreichischer Bundesadlerとも呼ばれています。
オーストリア共和国としての政治的意味合いがかかわる時に掲げられる、とても重要な意味を持っています。