先日ヴァッハウ渓谷の船下りの起点となるメルクの船着き場が変わったことを話題にしました。
以前の船着き場よりも修道院側から見ると少し奥になり、ドナウ側本流沿いになりました。
そうです、以前はドナウ河本流沿いではなく、本流に流れ込むメルク川の終わりにあったんですね。
せっかくメルクの船着き場を話題にしたので、今日はメルク修道院を眺めてみましょう。
メルク修道院はウィーン中心部から約90km西に離れた所にあり、ドナウ河沿いの断崖の上から、まるで街を見下ろすように建っています。
この修道院は重要なバロック建築でもあり、さらにこの場所は歴史的にもとても重要な位置にあります。
この辺りのドナウ河は古代ローマ帝国時代国境でもあり、ドナウ河沿いにはウィーンのように駐屯地が多く築かれました。
このMelkもローマ時代からの集落がありました。
Melkは831年に"Medilica"という名で最初に登場しますが、ハプスブルグ家の前に栄えた中世のバーベンベルク王朝の最初の居城が置かれた場所でもあります。
そこでバイエルンの貴族バーベンベルク一族がオットー2世皇帝から選ばれて、辺境地を守る伯爵という意味で、辺境伯(Markgraf)という皇帝のすぐ下のポジションでこの辺りを守る砦の城主の役割りを担うわけです。
メルク修道院は断崖の上に街を支配するかのように立っています。
団体ツアーの場合はバスで直接駐車場に入るので、この角度から見ることが意外と少ないのですが、個人で来られる方は是非この角度からも修道院を眺めてみましょう。
午後は船着き場に行くことがほとんどだと思いますので、その場合には必ずメルクの旧市街を通ることになりますからこの写真スポットを忘れないようにしましょう。