オーストリアはハプスブルク家がカトリックを守ってきたこともあり、国内ではローマカトリックの比率が最も高くなっています。
それでも最近は教会税を支払う割には、その見返りを感じないことから脱会する人も少なくありません。
ウィーンだとカトリックの比率は65%に達してないと思われます。
自分は宗教としては興味がありませんが、キリスト教から生まれてきたヨーロッパ文化・・・絵画、建築、音楽などは非常に興味深いものがあります。
観光的にも重要な教会が目白押しであるウィーンの街ですが、観光で知られていなくても同じように重要な教会がたくさんあります。
先日掲載したWähringer教会などもそのような教会に入りますね。
今日は中心に近い所にあるこんな教会を話題にします。
こちらはウィーン4区の一角にあるPaulaner教会です。
路面電車を使ったら早いですが、国立オペラ座からでも歩いて来られる所にあり、ファサードが美しく印象的です。
この教会は1211年にアントニウスに捧げられた教会として記録されていますが、1529年のオスマントルコによって壊されてしまいます。
1626年に反宗教改革の一環で皇帝フェルディナント2世によってパウラーナー修道会がウィーンに呼ばれます。
パウラーナー修道会はFranz von Paulaによって1474年に認められた修道会です。
ちなみに12使徒の1人であるパウロに関係する別の修道会も"Paulaner" と呼ばれますが、このFranz von PaulaのPaulanerとは違います。
1627年にはこの場所に教会と修道会を作り始めます。
1683年には再度オスマントルコの被害を受けますが、1686年には修復されました。
1717年には塔が作られ、1730年には教会正面部分が改築されました。
その後ヨーゼフ2世によって修道会が解散し、1784年には不要になった修道会の東部分が取り壊されました。
しかし教会はそのまま残されて、当時を偲ぶことが出来ます。
1963年には教会前広場が、交通を理由に小さくなりました。
そのため離れた所から見ると分かれ道にポツンと立っているように見えます。
誰によってこの教会が建築されたかは不明ですが、イタリアによく見られるルネッサンス的要素を残した初期バロック様式で、シンプルな北側正面部分です。
左にFranz von Paula、右にアッシジのフランシスコが見られ、中央には時計があります。
教会内部は外側の質素さからは想像できないバロック様式のSaalkirche...ホール空間スタイルです。
主祭壇は1718年のものですが、祭壇画は1844年にJosef von Hempelによって製作された守護天使、主祭壇両脇にはBonifatiusとVItalisが立っています。
主祭壇上の天井画はCarlo Carloneによる聖三位一体です。
交通量が多い外の世界とは違う、静寂な荘厳さが漂う教会内部空間です。
この教会を北西側から見ています。
ここからだと南側に立っている教会の塔が見えますね。
西側は路面電車の停留所が見えています。
教会を見る時には、教会に周りも可能な限り散策してみましょう。
教会の全体の形がどんな風なのか、特定の場所からしか見えない物などが見つかります。