ウィーン旧市街の中心にはシュテファン大聖堂が立っています。
ゴシック様式のとても印象的なこの大聖堂はウィーンのシンボルのひとつで観光に来たら必ず訪れるでしょう。
教会や修道院を訪れることは手っ取り早くヨーロッパ文化を感じることができますね。
今日はかなり外側にあるちょっと建築的にも面白い教会をお届けします。
こちらはウィーン18区の一角にあるWähringer Pfarrkirche...ヴェーリンガー教区教会です。
18区の代表的な名前になっているWähringそのままの名前が付いています。
ここには中心部Schottentorから路面電車40,41番で来ることができ、教会の目の前に停留所があります。
1213年にはここにベネディクト修道会Michaelbeuernに属する礼拝堂があったことがわかっています。
1226年には小教区になり、1232年には
聖Gertrudに捧げられいます。
現在でもこの教会の住所はGertrud広場です。
14世紀半ばには拡張されました。
1753年には新しく立て直され、その姿が現在まで見られます。
写真ではこの教会を南東から眺めています。
普通の教会のような建築構造ですね。
こちらはこの教会を北東から眺めています。
路面電車から降りるとすぐにこのアングルが見えてきますので、この教会の前が大通りです。
1934年にKarl Holeyのプランによって写真に見られるように北側に増築されました。
教会の塔が見えていますが、そちらが西側で、多くの教会がラテン十字架形で入り口が西側、祭壇が東向きに建築されるのですが、この教会も当初はそのように建てられました。
というか今でもそうなっていますね。
しかし北側に増築されたことから、十字架の向きが東西ではなく南北に変わったように感じられます。
非常に面白いですね。
塔がある教会西側入口から入ると、シンプルな後期バロック様式の非常に心地いい内部空間です。
奥にキリストが磔刑されている主祭壇が見えますね。
空間に1本も柱がないSaalkircheというホールスタイルの構造です。
これだけ見ているとしっかり東に向けられた普通の教会のように見えます。
もちろん現在でもこの空間でミサも行われています。
写真左に御注目下さい。
アーチの間にガラス張りの部分が見えていますが、この左側が増築された北側部分です。
こちらが1934年に本来の教会から増築された北側部分で、バロック空間とは全く違う洗練された空間です。
ユーゲントシュティール様式を思い起こさせますね。
こちらでもミサが行われています。
奥のステンドグラスはHeinlich Tahedlによるもので、救済をテーマにしています。
実は地形的に教会が立っているこの広場は南へ向かって高くなっていて、傾斜しているんですね。
この北側部分の増築によって一体感をもたらしています。
教会は歴史あるものばかりですが、ひとつの教会ではっきりと違う様式や構造が見られるのは面白いです。