オーストリアはヨーロッパアルプスが大きく横たわっているという地形の特徴があり、その中を多くの川が流れ、その多くがヨーロッパで2番目に長い、オーストリアを西から東に流れるドナウ河がに注がれています。
オーストリアの国歌が"Land der Berge, Land am Strome" ・・・山岳の国、大河の国という名前であることは御存知でしたか?
かつての帝国時代にはアドリア海のヴェネツィアやクロアチアはオーストリアに属していたので、オーストリアには海軍が存在していましたが、現在では海はありませんので、海軍もありません。
氷河から形成された美しい湖はたくさんありますので、水は豊富です。
その氷河から形成された美しい湖水地帯であるザルツカンマーグートは私も大好きです。
そこには世界遺産のひとつであるハルシュタットがあり、現在でも世界最古の岩塩抗が機能していて、塩の採掘が行われています。
アルプスの中に塩の塊があるのは、ここが3億年前には海の中であったからです。
アルプス山脈が現在の姿に形成される前の話です。
オーストリアには、それを教えてくれるところがたくさんあります。
今日のテーマにする場所もそのひとつです。
ウィーンの中心部から北へ車で60km程走ったNiederösterreich Weinviertelの一角にNexingという人口49人の小さな街があります。
ここに"Nexinger Muschelberg"という歴史的、地質学的に有名なものがあります。
Muschelbergですから"貝の山"というような日本語になりますが、名前の通り、無数の貝殻からなる地層で形成された大きな岩などがたくさん見られます。
右の写真はここの入口で、土、日、祝日の9:00~18:00であれば誰でも中を散策することができます。
Muschelbergという名前ですが、そんなに高い山ではありません。
入口の門を抜けるとすぐに森の中に入ったような感じです。
少し歩いて行くと左上に見られるようにもうひとつの入り口があり、ここの扉を開けて奥に歩いて行きます。
古代遺跡のような岩の塊などが見えてきますが、もう貝の山です。
遠くから見ると普通の岩肌のように見えますが、無数の貝が岩全面を覆っていることがわかります。
貝がそのまま年月とともに岩の一部となっています。
右上の写真は入口から少し入った所で、人1人がやっと通れるぐらいの狭い通路を人工的に作ったのでしょうか。
両側に絶壁のように貝殻が無数に入った岩を見ることができます。
上の写真に見られるように、貝殻が無数に入った石灰岩が至る所に見られます。
固いもので削れば、貝殻が取れます。
これは1250~1350万年前のものと推定されています。
もちろんアルプスが現在の地形になってからですが、形成はもっと前からでしょう。
何十億もの数え切れない貝が、岩と一緒になっています。
石灰岩ですが、貝殻も石灰原料ですね。
岩を近くで見ると、岩に貝が刺さっている感じですね。
19世紀の時には、家の壁や地下に利用するための石灰岩が焼かれ、また貝殻だけを別にして鶏のエサにもしたそうです。
古代の海を感じながら、ちょっとした散策を楽しめます。
ここの一角から左上の写真に見られるOase am Teichが見下ろせます。
この貝の山を散策した後は、下に戻ってこの池の周りも散策しましょう。
多くの人が釣りをしていて、魚料理が食べられるレストランもあります。
オーストリアにはこのような面白いお勧めスポットがたくさんあります。