オーストリアに旅行に来てお土産に岩塩を買って行く人も多いと思います。
ウィーンは荘厳な建造物に囲まれたかつての帝国の都なので、岩塩との結びつきはあまり感じませんが、オーストリアに来る前にちょっと予習した方はオーストリアでは岩塩が採掘されていることに気付くでしょう。
ウィーンと岩塩の結びつきはあまり感じませんと書きましたが、ウィーンでは岩塩が採掘されないというだけのことで、ローマ時代、中世に塩はザルツブルク方面からウィーンに頻繁に運ばれていました。
今の私達の時代でもオーストリアの家庭では岩塩が使われていますので、現在の生活でも岩塩は切っても切れない関係にあります。
海もないのに塩が・・・と思う方が多いかもしれませんが、オーストリアは国土の63%が山岳地帯で、ヨーロッパアルプスが横たわっています。
そんなオーストリアアルプスの一角では今でも岩塩が採掘されています。
オーストリアには岩塩抗がいくつあるのでしょうか。
※Land schafft Leben より引用
上の図を御覧下さい。
オーストリアには全部で5つ岩塩抗が存在しますが、そのうち現在でも塩が採掘されているのは
Hallstatt、Altaussee、Bad Ischlの3か所です。
HalleinとHall In Tirolは岩塩抗として残されていますが、塩の採掘は行われていません。
さらにHallstatt、Hallein、Altausseeの3ヵ所は一般公開されていて見学することができ、Hall In TirolにはBergbaumuseumという坑道をまねて作った博物館があります。
Bad Ischlは土砂崩れにより岩塩抗への道が塞がったため1999年7月より一般見学は閉鎖されています。
こちらはHallstattですが、岩塩抗がある上の方から湖畔の街を眺めています。
ここまでは徒歩でも行けますが、通常はケーブルカーを利用します。
Hallstattは世界最古の岩塩抗で、7.000年前(紀元前5.000年頃)から塩が採掘されていました。
オーストリアでは前述した3か所で年間1.200.000トンの塩が採掘されています。
1日150トン、1時間2.5トンの採掘量です。
岩塩採掘に関わっている人の2/3は岩塩抗で、1/3は地上での仕事です。
ヨーロッパ全体的に60%がSiedesalz・・・つまりオーストリアのように岩塩抗の地層を溶かして飽和状態の塩水を作り、それを沸騰させて塩を取り出すスタイルで、30%がSteinsalz(塩の岩)・・・文字通り塩の塊をくだいてふるいで分けて精製する、そして10%が海水から太陽光線を利用して塩を作る・・・大きくこの3つの方法が存在します。
オーストリアの家庭で使われている塩は地元で作られている岩塩です。
お土産にもお勧めですし、時間があれば是非岩塩抗も訪れてみたいですね。