先日ウィーンの美術史博物館でティツィアーノの婦人画展を鑑賞してきました。
本来多い時には1週間に3~4回行くこともある美術史博物館なのですが、コロナ禍のお陰でちょっと足が遠のいていました。
前回ここに来た時にも気づいていたのですが、今回あらたにこの大階段ホールを上った時に目立ったものがあります。
ウィーンの美術史博物館は質から言って、ヨーロッパ3大美術館のひとつにも数えられ、絵画史上とても重要な作品が目白押しです。
この美術史博物館はその素晴らしいコレクションを展示することを念頭に初めから美術館を意図として建築されたわけですから、中に入るとその素敵な空間に驚かされます。
2階の絵画コーナーに行くために大階段を上っていくわけですが、その時に素晴らしい天井画が見られるわけですが、すぐに大階段中央に置かれている堂々とした彫刻に気付きます。
この彫刻は、当時ヨーロッパでおそらく一番有名であったイタリアの彫刻家アントニオ・カノーヴァが製作したもので、英雄テセウスがケンタウルスをやっつけている場面です。
このケンタウロスは上半身が人間で、下半身が馬で、好色で粗暴です。
ラピタイ族の王ぺイリトオスの結婚式で、花嫁に襲いかかったので、テセウスが退治するという話です。
カノーヴァ(1757年イタリアのPossagnoで生まれ、1822年ヴェネツィア没)は、父も祖父も石工や彫刻家であり、父が早く亡くなり、母も別の所に嫁いだため、祖父が家業を継いでもらうため、早くからカノーヴァにスケッチの手ほどきをし、幼いころから美術をすることになり、彫刻に関心を示し、すぐに祖父を手伝うことができるようになったといいます。
ウィーンのアウグスティーナ教会にあるマリア・クリスティーナの墓石は非常に有名です。
この彫刻はカノーヴァの特徴である裸体の大理石で表現されています。
テセウスはアテナイの王アイゲウスとトロイゼンの王女アイトラの子と言われ、後に王位を継ぎます。
彼の有名な話はクレタ島の迷宮内の牛頭人身のミノタウロスを、王女アリアドネの助けで退治し、迷宮を脱出したことでしょうか。
この彫刻はナポレオンが注文したものですが、ナポレオンが失脚した後、ローマでハプスブルグ家の皇帝フランツII/I 世が入手し、1822/1823年にウィーンに運ばれました。
そして以前ここで紹介した国民庭園のテセウス神殿に置かれましたが、この美術史博物館がオープンした1891年よりこの場所に置かれています。
長くなってしまいましたが、テセウスの顔を見て下さい。
マスクを付けています。
美術館に入るためには2G規則で、館内もFFP2マスク着用が義務付けられているので、テセウスもそれに従っているんでしょうね(笑)