オーストリアはドイツ語が話されている国ですね。
ウィーンという街は有名でも、オーストリアがドイツ語を公用語としているということを知らない方も意外に多いような気がします。
観光中よく「この国の公用語は何ですか?」という質問を受けることがあるからです。
「この国はドイツ語が話されています」と答えると、かなりの方がドイツを想像すると思われます。
確かにドイツもドイツ語ですからね~。
通常日本で生活をしていれば、ヨーロッパの国と言えば、日本と経済的な繋がりがあって、国もある程度大きい国を最初に連想する傾向があります。
そのため、オーストリアの公用語がドイツ語だと聞くと、ドイツと同じなんだな・・・という感覚を持つ方が多いと思います。
しかし、ドイツだからと言って、標準ドイツ語だけが話されている国ではありません。
日本と同じように、ドイツもいわゆる方言だらけです。
オーストリアだってもちろん方言があり、州によって違いますし、また同じ州の中でも話されているドイツ語が違います。
ウィーンだって"Wienerisch"という地元の方が誇りに思っているウィーン方言があります。
標準ドイツ語をしっかり学んだ方は、どちらの国でも全く問題なく使うことができますし、もちろん理解もしてくれます。
(スイスも約70%がドイツ語の国ですが、ここでは話題から外します)
しかし同じドイツ語でもドイツ人が話すドイツ語とオーストリア人が話すドイツ語は根本的に違っています。
イントネーションとか使っている単語や文法までも違うこともあります。
ドイツ人の話すドイツ語は、けっこうハッキリした発音ですが、しかしイントネーション的には口の奥にこもったような、逆に口先で話すように聞こえます。
悪く言えば、融通が利かないんだよ!というような心無い発音に聞こえてしまいます。
(ドイツファンの方は御免なさい、決してドイツを批判してるつもりはありませんので)
オーストリア人のドイツ語は流れていて、丸みのあるような音です。
よく言えば優雅に、そしてシェーンブルン宮殿のように上品に聞こえます。
でも最初は慣れないとドイツ人の話すドイツ語よりも聞き取りにくいような気がします。
私は長くウィーンに住んでいますから、オーストリア人のドイツ語を聞けばホッとします。
オーストリアのドイツ語とドイツのドイツ語とは違います。
その人のドイツ語を聞いた瞬間に、この発音はオーストリア人ではなく、この人はドイツ人なんだということがすぐにわかります。
それだけ大きな違いがあるんですね。