シェーンブルン宮殿の謂れは 「美しい泉」

ウィーンに来たら絶対に見逃すことができないシェーンブルン宮殿は、本来であれば毎日たくさんの人で賑わっています。

先日仕事でシェーンブルン宮殿に行き、宮殿内部見学以外にも庭園を散策しましたが、かなり空いていました。

 

シェーンブルン宮殿に来たら、たいてい宮殿の内部見学をされると思いますが、ここはできれば時間をとって庭園をゆっくり見て頂きたいと思います。

ここシェーンブルン宮殿は余裕で1日過ごすことができます。

時間がなくてもせめて丘の上にあるシェーンブルン宮殿のシンボル的なグロリエッテには行って頂きたいです。

 

さてこのシェーンブルン宮殿の庭園一角に、シェーンブルン宮殿の名前になっているSchöner Brunnen (シェーナー ブルンネン)・・・美しい泉があります。

 

 

こちらがシェーンブルン宮殿の謂れになっている「美しい泉」です。

 

このシェーンブルン宮殿とハプスブルグ家は、もともとカッターブルクと呼ばれていたこの場所を1569年に皇帝マクシミリアン2世が入手することから始まっています。

 

一般的にこの泉は、マティアス皇帝(マクシミリアン2世の息子のひとりで在位1612~1619)が狩猟の最中に発見し、「何と、美しい泉だ!」と表現したと言われていますが、最近の研究ではマクシミリアン2世の時代の1569年以降の古文書で確認されていて、1573年には泉を保護する木材が調達されています。

 

 

 

この場所にはAdrian van Steckhovenが作った泉の家がありましたが、1771年ヴァンセンヌ生まれでウィーンで亡くなる宮廷建築家Isidore Canevaleの設計により、現在見られるように新しくされました。

小さなパビリオンのようで、前と後ろにはアーチが施されています。

この写真ではわかりませんが、鳥が入って来ないように網が張られています。

 

 

このパビリオンの中にある美しい彫刻は、Wilhelm Beyerによって1780年に作られたものです。この人物は泉のニンフ(精霊)のエゲリアで、彼女の右手の壺から水が流れ出ています。

エゲリアはローマ神話に登場する、同名の泉(水)の精霊です。

この水はかつてシェーンブルン宮殿で、重要な飲料水として、ウィーンの上水道が引かれるまで使用されていました。

パビリオン内部の壁は、鍾乳石模様と花の模様が施されています。

 

 

この「美しい泉」は2年越しで修復され、2014年の5月に完了しました。

修復費用は、285.000 ユーロということです。

 

この庭園のグロリエッテを見て正面に見られる泉が、よく「美しい泉」と思われる方がいらっしゃいますがそうではありません。

 

「美しい泉」はローマの廃墟の近くで、グロリエッテを正面にして、時計の針10:30ぐらいの方向に行った、ちょっとわかりにくい場所にあります。

 

 

 

 

 

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