オーストリアは8か国に囲まれている内陸国ですので、ウィーンから車で1時間ぐらい走ればチェコ、スロヴァキアやハンガリーに簡単に入ることができます。
日本からもウィーンを観光するツアーではプラハ、ブダペスト、ブラティスラヴァを訪れるツアーがたくさんあります。
私も仕事柄、オーストリアに隣接しているチェコ、ハンガリー、スロヴァキアにはよく行きます。
日本からの一般ツアーでブラティスラヴァに寄っても、見る所はほぼ決まっていて、たいていブラティスラヴァ城と旧市街のみです。
ブラティスラヴァはスロヴァキアですが歴史はハンガリー史を語った方が早く、実際にハンガリー語が現在でも多く話されています。
それは、ブダペストが16世紀前半のオスマントルコに占領されての1536年からマリア・テレジアの長男ヨーゼフ2世が1783年に再び都をブダペストに移すまでの約250年間、ハンガリー王国の首都であったというのも大きな理由のひとつです。
帝国時代はドイツ語名でPressburg (プレスブルク)と呼ばれていましたし、ここは習慣的にドイツ語が多く話されていました。
さて、そのスロヴァキアの首都ブラティスラヴァにはちょっとおもしろい教会があります。
この教会名はエリザベート教会で、街の雰囲気には似つかわしくない、お菓子の家みたいな雰囲気です。
実際にこの場所は住宅街の一角といった感じで、近くに来るまで目立ちません。
カトリックの教会で、聖人エリザベートに捧げられています。
エリザベートはドイツ騎士団の守護聖人で、13世紀前半に生きたハンガリー王女でElisabeth von ThüringenやElisabeth von Ungarnとよく呼ばれています。
この教会は、1845年にブラペストで生まれ、1914年ブダペストで亡くなったハンガリーアール・ヌーヴォーの建築家
レヒネル・エデンによって1908年に建てられました。
アール・ヌーヴォーと書きましたが、ハンガリーユーゲントシュティールです。
レヒネルはこの教会に隣接している学校も建築していて、この教会はその学校のための礼拝堂を意図として作られました。
塔が印象的ですが、元々のプランでは教会自体の上にドームがかけられるはずだったそうです。
入口はロマネスク様式っぽいですね。
レヒネルの特徴はジョルナイセラミックが多用されていること、オリエント的要素や、生きているような曲線などが特徴です。
レヒネルはセラミックにも強い関心を持っていました。
教会内部は意外とシンプルで、ひとつの空間です。
外観と合せた水色が多く使われていて、様々な宗教画が飾られています。
主祭壇は貧しい人達に物を与える聖人エリザベートが描かれています。
この教会は別名で"青の教会"とも言われています。
ブラティスラヴァを訪れたら是非寄ってみましょう。
中心の広場から850m程離れていますが、10分強で歩いて行くことができます。
余談ですがおもしろい教会のひとつとしてオーストリアにはフンデルトヴァッサーが手掛けたバルバラ教会という有名な教会があります。