ウィーンのシンボルのひとつであるシュテファン大聖堂に入ると荘厳なゴシック様式に圧倒されます。
外の雑踏と別世界のキリスト教文化・・・ヨーロッパ文化を感じます。
ここを訪れるたいていの方はすぐに正面祭壇がある前方に視線を向けるでしょう。
そのためいきなり入口の真上にある巨大オルガン・・・Riesenorgelには中々気付きません。
このRiesenorgelは長らく利用されていなかったのですが、2017年に修復されることが決まり、現在でも着々と作業が進められていて、新しいパイプの取り付けもほぼ完了し、いよいよ鍵盤部分が運ばれて来ました。
こちらが新しいRiesenorgelの鍵盤部分です。
鉄格子の内側の身廊部分に置かれていてしっかり梱包されてここに運ばれて来たことがわかります。
この正面上にこの鍵盤が設置されることになります。
この時シュテファン大聖堂の中の御案内をしていて、ラッキーなことに新しい鍵盤部分を間近で見ることができました。
新しいRiesenorgelはオーストリアのRieger社製です。
世界で最も音響がいいホールのひとつである楽友協会の黄金の間に置かれているのもこのRieger社製のパイプオルガンです。
上の2枚の写真を比較して下さい。
左がこれから設置される新しい鍵盤部分で、右が以前の鍵盤です。
一見同じように見えます。(もちろん同じように製作したわけですが)
新しい鍵盤は基本的な形は同じでも鍵盤の段数が1段多い5段鍵盤ですし、やはりモダンですね。
去年からシュテファン大聖堂に来るたびに新しく設置されたパイプからの音をよく聞いています。
鍵盤部分がまだ設置されなくても音の調整は始まっていました。
古いRiesenorgelは1956年~1960年にウィーン生まれのオルガン製造業者Johann Marcellinus Kauffmannによって新しいオルガンが設置され、1960年10月2日にここに奉納されました。
125のレジスター、パイプの数は約10.000本で、オーストリア最大のパイプオルガンでした。
今年2020年は最初のRiesenorgelが壊されてからの75周年目ということになります。