ヨーロッパ文化を知る上でキリスト教なくしては語れません。
キリスト教があったからこそ、絵画、建築、音楽などが様々なスタイルで発展していきました。
キリスト教本来の性格を担っているのはギリシャ正教などの東方正教会ですが、芸術的に素晴らしいものが見られるのはローマカトリックですね。
オーストリアもローマカトリックの比率が80%以上と圧倒的に多い国ですから、素敵な教会が星の数ほど存在します。
このコーナーでも多くの教会を取り上げました。
さて、今日はウィーン郊外にある小さな教会です。
こちらはウィーン19区のハイリゲンシュタットにあるヤコブ教会です。
そうです、この教会のすぐそばにはベートーヴェンの遺書の家があり、またこの教会の横にはベートーヴェンが住んだホイリゲがあるため、この界隈を訪れる方の多くはこの教会を見ていると思います。
ハイリゲンシュタットは古くからキリスト教信仰がしっかりした組織的に存在していて、このヤコブ教会の始まりは5世紀頃まで遡ることができます。
パッサウのRüdiger司教の1243年に記述によれば、1246年にクロスターノイブルクの姉妹教会であった聖マルティン教会から切り離され、1263年には病院と聖職者住居がこの聖ヤコブ礼拝堂の横にあったことが古文書で確認できます。
1307年にはクロスターノイブルク修道院の管轄となり、ハイリゲンシュタットはアウグスティヌス聖堂参事会修道会がこの地域のGrinzing, Sievering, Salmannsdorf, Nußdorf, Ober- Unterdöblingなどと共に宗教的に活躍します。
1529年のオスマントルコの襲来で、この教会は壊されましたが、1534年には再建されています。
1683年2回目のトルコ軍では、再び教会と病院も壊されましたが、今度は教会だけが再建されました。
1752年には塔が追加されました。
1952/1953年には考古学的な発掘調査が行われ、ローマ時代の部分が発見されています。
教会内部には初期キリスト教時代と思われる墓石があります。
教会の北側はローマ時代の墓地だったようです。
1980年にはその墓地のそばでアヴァール時代の墓石も見つかっています。
教会内部は質素な1空間のホール構造で、ロマネスク様式、12世紀の姿です。
左側には3つの窓がありますが、右側は2つです。
教会左側のアーチから奥に入ると中々雰囲気のいい空間が見られます。
そこにはちょっとした演奏会や講演などができる建物があります。
写真右は別の角度からこのPfarrplatzを見ています。
左には赤白の旗が壁に掲げられていますが、この場所はベートーヴェンが1817年の夏。2か月間だけ滞在した場所で、地元で有名なホイリゲとなっています。
この界隈にはベートーヴェンにもゆかりある別の教会もあります。