ウィーンはヨーロッパで一番長く続いたハプスブルグ王朝の居城であり、ハプスブルグ家の下にかなりの時代に渡って神聖ローマ帝国の皇帝やローマ王の称号があったので、皇帝の居城として他のヨーロッパの街とはやはり歴史的な立場が違うかつての帝国の都です。
様々な物がこの街に集まり、そして洗練されていきました。
食文化もそのひとつでしょうか。
ハプスブルグ家はしっかり組織された大規模な厨房を構え、帝国内の様々な地域からの豊富な食材が集められ、色々な料理が提供されました。
フランツ・ヨーゼフ1世は自ら献立を考えることがよくありました。
さて、そういう意味でウィーンには星の数ほどレストランが存在し、様々な地域の料理が提供されています。
これもウィーンがかつての帝国の都であって、多民族国家の首都であったことを象徴しています。
今日はひとつのレストランを話題にします。
こちらはリンク道路沿いにあるウィーン中心部では最も大きな公園Stadtpark(市立公園)にあるクアサロンです。
市立公園はガイドブックでも有名なヨハン・シュトラウスの像を始め、シューベルトやブルックナー、フランツ・レハールなど有名人の銅像が多くあり、同時に色々な花が植えられていて、広さは65.000m²もあり、中にはウィーン川が流れています。
市立公園ができる前、19世紀初めから半ばにかけてこの辺りにはKurpavillonというミネラルウォーターなどの健康飲料水を提供する施設があり、城壁が取り壊されることをきっかけに、新しく現在のクアサロンが以前のKurpavillonよりも少し西側に作られました。ウィーン市の依頼でハンブルク生まれでウィーンで亡くなった建築家Johann Garbenにより、1867年に作られました。
元々カフェハウスや以前同様健康飲料を提供するはずでしたが、それが認められず、1868年10月15日にはヨハン・シュトラウス2世が演奏し、ここはダンスホール、コンサートホールとして使用されるようになりました。
現在でもここでは観光客対象の楽しいワルツコンサートが行われています。
このクアサロンの一角にレストランJohann(ヨハン)があります。
右上の写真はレストランJohannのロゴですが、ヘ音記号を"J"の文字に使っています。
レストランの中はちょっと宮殿的な内装になっていて、清潔感があります。
提供されている料理は定番のオリジナルウィーンナーシュニッツェルを始め、魚料理、コースメニュー、前菜、デザートと幅広く、個人的にはちょっと塩味が強いかなと思いますが、全体的に味は悪くありません。
天気がいい時は外のテラスがお勧めです。
市立公園の豊かな緑に囲まれて、ちょっとリゾート的な空間が演出されています。
ここでワルツコンサートを楽しむ前に、食事をする方が多いです。
レストランへは公園側からも、またクアサロンの正面側にもレストラン専用の入口があります。