ウィーンを始め、ある程度人口がある街の、宮殿や集合住宅的な建物には必ず中庭空間が存在します。
そのような中庭は外からは全く想像できない静かで、時としてとても美しい空間です。
団体ツアーではまず御案内しませんが、個人のお客様と旧市街を観光する時にはたいてい中庭のひとつやふたつは御案内しています。
荘厳な建造物が建ち並ぶ街外側の街並みに対して、中庭空間は全くと言っていい程対照的です。
前回の知られざる美しい中庭空間59ではヴァッハウ渓谷のWeissenkirchenから取り上げましたが、今回はウィーン旧市街からです。
こちらは石畳が敷き詰められた中庭空間で、1階部分はアーチ構造となり、2階から上はウィーンらしい長方形の窓が多く並んでいます。
通路になっているアーチがほんの少しだけ高くなっていて、その向こうはどんな空間なんだろうな・・・と想像させられます。
右の角にはおそらく後付けされた階段があってそこから部屋に入れるようになっています。
ここは歴史あるFreyung1番地で、有名なカフェ、Café CentralがあるPalais Ferstel (フェルステル宮殿)が隣に立っています。
こちらはさらに奥に行った2つ目の中庭です。
ここにはテーブルと椅子が置かれていて、ここで働く方々がくつろげるようになっています。
この建物はPalais Hardeggで、15世紀まで遡って記録で確認できます。
当時はAdmonter Hofと呼ばれ、1572年には Palais Breuner、1670 年にはPalffy、1694年にはKaunitz、1797年にはMetternich、1805年にはEsterházyといった様々な貴族が所有し、1847年にReichsgraf Maximillian
Herdeggが初期歴史主義様式の賃貸宮殿に改築させました。
Freyungの一番端にあるため、あまり目立たない建物ですが2つの中庭空間を持つ大きな宮殿です。