ウィーンの街中には帝国時代から営業しているCAFÉ KONDITOREI(いわゆるケーキ屋さん)が多くあります。
宮廷に商品を卸すことが許された多くの業者が今でも伝統を受け継ぎながら営業しています。
ケーキ屋さんひとつとってもウィーンの歴史を垣間見ることができます。
宮廷文化が栄えた街というのは必ずどこかの分野で洗練された一場面を見ることができます。
ウィーンはヨーロッパで一番長く続いたハプスブルグ王朝の居城であり、神聖ローマ帝国の皇帝の居城でしたから、当然様々な分野のものが集まって来たわけです。
そういう意味でウィーンは本当にヨーロッパ文化が凝縮した街となったわけですね。
ウィーン以外にもそのような空気を感じる街はたくさんあります。
ウィーンから近い所で温泉町バーデンなどはその一例です。
例えば有名な景勝地ザルツカンマーグートの一角Bad Ischl(バードイシュル)もハプスブルグ帝国時代に新たに栄えた街ですね。
ここにはKaiservillaという有名なヴィラがあり、フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベート皇后の結婚記念として2人に贈られたものです。
このBad Ischlはザルツカンマーグートの中でも湖に面した街ではないにもかかわらず、有名な景勝地となりました。
ここに来たらやっぱり寄りたいのはケーキ屋さんのZaunerですね。
皇帝フランツII/I世の侍医であるヴィラ―博士が、1821年にウィーンの菓子職人であり、ワインの商人でもあったJohann Zaunerを宮廷御用達の菓子職人としてBad Ischlに呼びました。
エリザベート皇后の甘いもの好きは有名だったにもかかわらず、それまでBad Ischlには宮廷の要望に応える菓子職人はいませんでした。
Johann Zaunerは最初に"Wirerkeller"という名で、街の中心とはトラウン川を挟んで反対側にあるMaxquellgasseで働きました。
その後1832年に現在の街の中心であるPfarrgasseに自分の店であるケーキ屋さんをオープンします。ここは現在Zaunerの"Stammhaus"と呼ばれています。
1927年には、トラウン川沿いのエスプラナーデにもいわゆる支店がオープンします。
上2枚の写真はエスプラナーデのZaunerで、特にCafé Esplanadeとも呼ばれています。
私はPffargasseにある最初オープンしたZaunerよりもこちらの方が好きです。
この日は週末の土曜日の14:00頃ということもあって大変な混雑でした。
中だけでなくテラスもいっぱいでした。
しかし、幸いにして5分も待つことなく奥のテーブルが空いたのですぐに座ることができました。
ここで昼食をして、当然ケーキも食べました。
ウィーンのお気に入りのハイナーと引けを取らないここのケーキです。
Bad Ischlに来たら絶対にここは外せません。