オーストリア国家公認ガイドとして年間をと通して仕事をしていると、オーストリアの様々な場所に行きます。
でもウィーンを御案内することが圧倒的に多いです。
ウィーンと一言でいってもとても数日で見切れる街ではありません。
ここはかつての帝国の都であり、ヨーロッパ文化が凝縮した街と私はよく表現していますが、様々なものがリンクしています。
オーストリアのひとつの観光スポットとして、最も多くの方が訪れるのはシェーンブルン宮殿です。
ウィーンに始めてきてここに来ない方はほとんどいないでしょう。
団体ツアーのほとんどはシェーンブルン宮殿の観光が含まれていますし、個人のお客様と宮殿内部だけで2時間ぐらいかけてゆっくり観光することもあります。
私にとってシェーンブルン宮殿は言ってみれば自分の庭のようで、ここの係やお土産屋さんの店員、カフェで働く人、守衛さん、庭園で働く人の多くとは顔見知りです。
そのシェーンブルン宮殿は残念ながら宮殿内部は写真撮影が禁止されています。
私のこのホームページには、写真が撮れる所だけを掲載しています。
そのシェーンブルン宮殿の大広間で堂々と写真を撮れる時がありましたので、今日はシェーンブルン宮殿の大広間の雰囲気をお伝えします。
シェーンブルン宮殿は一般的に全室40室を見学するグランドツアーと前半を見学するインペリアルツアーの2つが提供されていますが、国家ガイドとであれば後半のハイライトツアーも選べます。
後半のハイライトツアーの方が、各部屋に個性があるので、ハプスブルグ家の歴史的背景にあまり興味がなくても、視覚的に楽しめる個性ある部屋が多いです。
どのツアーでも大広間はしっかり見ることができます。
シェーンブルン宮殿の内部見学でのハイライトは何と言っても大広間です。
ここは宮殿の中央に置かれ、ここを見た瞬間に多くの方は感嘆の声をあげられます。
上の2枚の写真は大広間にある天井フレスコ画です。
この大広間は宮殿の中央に位置し、長さが43m、高さ10m、幅10m、広さが420m²です。
ここは本当に見ごたえがあります。
ベルサイユ宮殿のような成金的装飾よりも、遥かにこのシェーンブルン宮殿の方が洗練された美しさを持っていると思います。
宮殿外観のバロック様式に対し、内部はロココ様式でオーストリアの芸術や文化の水準の高さがうかがえます。
この大広間には3つの天井フレスコ画があり、グレゴリオ・ジュリエルミによるもので、1760年~1761年にかけて描かれました。
オーストリア科学アカデミーのフレスコ画も彼によるものです。
左上は四季とハプスブルグ家の芸術、科学、学問を、右上はハプスブルグ家の軍事力が表され、地上部隊が見られます。
ここは前述した通り、現在でももちろん写真・ビデオ撮影禁止です。
例外として、雑誌などに掲載する場合は、事前にシェーンブルン宮殿と数週間前までに書面で契約を交わし、数百ユーロの権利金を払うと一時的に撮影可能です。
過去、そのような仕事にも携わりました。
今回、ここに掲載した写真は18:30からの閉館後の貸し切りツアーで、係以外誰もいない宮殿を御案内しました。
顔見知りの係が、大広間だけ例外的に写真を撮っていいぞ・・・と言ってくれたので、堂々とこの大広間の写真を撮ることができました。
個人的にはとても嬉しかったです。
しかも、係は全てのシャンデリアにもロウソク(笑)・・・いや電気を灯してくれました。
最後にシェーンブルン宮殿の大広間の全体的な雰囲気を掲載します。