ウィーンを始めオーストリアには訪れる価値がある地元で有名なスポットがたくさんあります。
その多くは観光のガイドブックなどでは紹介されていません・・・ということはそのような場所は地元の人だけが訪れるわけですから、一般観光場所とは空気が違いますね。
オーストリアは昔から芸術や文化の水準が高かったので、それが現在でも博物館や観光スポットなどにもセンスの良さや配慮を感じることができます。
その地元で有名なスポットのひとつであるうちのお気に入りのAmethyst Welt MAISSAUに今年も行ってきました。
Amethyst Welt Maissauはウィーン中心部から車で70㎞程北西に走った"Maissau"にあり、世界最大のアメジストが埋まった岩の壁が見られることで知られています。
MaissauはNiederöstereichのWeinviertelとWaldviertelの中間に位置した人口2.000人弱の小さな街で、Amethyst Weltはそこから2km程離れた所にあります。
左上の写真はここの入口にある案内図で、右上が入口です。
入口から中に入ると広いスペースにインフォメーション、ショップやカフェなどがあります。
それを抜けると外に出ますが、目の前に左上の写真に見られる円形の建物が立っていて、ここに"Amethyst-Schaustollen"と呼ばれる世界最大のアメジストが埋まった岩壁があります。
この中はガイドツアーのみでの見学が可能です。
Amethyst-Shaustollenに入ると広い円形スペースの中央に3角形状の大きなスクリーンが設置されていて、アメジストについての説明を見ることができます。
Amethyst-Schaustollenはアメジスト見学坑道なんて意味になるでしょうか。
この中には右上の写真で見られるようにアメジストで作られた装飾品などが展示されています。
さらに奥に入って行くと左上の写真のようにとても広い空間に導かれます。
ここには多くのアメジストが展示品として置かれていて、世界最大のアメジストが埋まった岩壁が姿を現しました。この場所は地下12mの深さです。
まるで人工的に作った映画のセットのようですが、自然のままに残されていて、そこを利用してこの施設を作ったわけです。ここで見られるアメジストの岩壁は40m以上の長さがあります。
右上の写真はアメジストが埋まっている岩壁の一部です。
このMaissau一帯には、アメジストの岩壁は確実に400mの長さはあり、おそらく1km以上はあるだろうと推定されています。
ここは森林地帯になっていて、調査できる所が限られているため、全部が明らかになっていません。
アメジストは紫水晶とも呼ばれていて紫の色が有名ですね。
アメジストという名はギリシャ神話に登場する少女の名前から来ています。
アメジストは意外と古い歴史を持っていて今から約4.000年前のエジプト王、王妃のお墓の中からも発見されています。
アメジストは水晶ですから天然水晶と同じマグマ性結晶で火成岩に分類されます。
美しい紫色は水晶を形成する珪素の一部が鉄に入れ代わり、鉄を取り囲む酸素のひとつの電子が天然放射線によって失われて形成されると言われています。
アメジストの岩壁があるAmethyst-Schaustollenを出ると、すぐにEdelsteinhausがあります。"Edelstein"(エーデルシュタイン)は宝石という意味ですから宝石の家です。
ここもガイドツアーのみで見学できます。
つまりここは2つの別々のガイドツアーが提供されているわけですね。
ここは世界からのアメジストや隕石も展示されていて、毎年テーマが変わり、ひとつの宝石が紹介されます。
今年はオパール、去年はダイヤモンドでした。
上の2枚の写真はEdelsteinhausです。
Edelsein(宝石)は希少性が高くて外観が美しい固形で一般的にアクセサリーなどに多く利用されている鉱物のことを指します。鉱物とはドイツ語では"Mineral"と呼ばれます。
宝石は天然鉱物として無機物結晶で、外観が美しいこと、希少価値があること、硬度が高いことが条件となり、よく知られているのは20種類程度ぐらいしかありません。
Amethyst-Schaustollen、Edelsteinhausを楽しんだ後、うちが必ず行くのが"Schatzgräberfeld" (シャッツグレーバーフェルト)です。
Schatzは埋もれている宝や財宝という意味がありますので、宝を発掘する野原みたいな意味があります。
ここでは決められた敷地の中で地中に眠っているアメジストを掘り出すことができるようになっています。
ドイツ語ではschürfen (シュルフェン)という言葉がよく使われていて、試掘するとか探鉱するという意味です。
schürfen (シュルフェン)は別料金で、入口のInfoセンターで払います。
掘るための小さなピッケル、シャベル、バケツを貸してくれます。
1時間という時間内であればルールを守って敷地内のどこを掘ってもよく、掘り出したアメジストは片手に収まる大きさであれば(いくつでも)持ち帰ることができます。
左上の写真がアメジストを掘り出せるSchatzgräberfeldです。
この日はとても暑かったのですが、真剣に掘って、体がくたくたになって、腰が痛くなりました。
今回もそれなりの収穫はありました。
ここのAmethyst Welt MAISSAUでは、Amethyst-SchaustollenとEdelsteinhausはガイドツアーだけでしか見学することができませんが、その他の場所は自由に歩いて散策できます。
右上の写真は園内ですが、そんな雰囲気はなく、自然の中です。
小さな庭園や子供達の遊び場、動物が飼育されていたり、くつろげるようになっているエリアなどここは自然公園的で楽しめます。