ウィーンのシンボルのひとつてあるシュテファン大聖堂は、荘厳なゴシック建築で街の真ん中に立っています。
ここはケルントナー通りとグラーベンが交差した所にあり、ウィーンに滞在されれば何度となく歩くことになると思います。
このシュテファン大聖堂はハプスブルグ家の前のバーベンベルク王朝時代の12世紀半ばに建築され、現在までずっと歴史を見続けてきました。
シュテファン大聖堂をちゃんと見学するだけでも多くの時間が必要です。
このシュテファン大聖堂にはRiesenorgel(リーゼンオルゲル)という巨大オルガンがありますが、このオルガンが修復されることが決まりました。
今日はそのことについてちょっとまとめます。
シュテファン大聖堂には西側正面入り口から入ります。
ゴシック様式の内部空間に圧倒されてしまい、主祭壇がある東側方面についつい集中してしまいます。
でも少し前へ進んで後ろを見上げるととても大きなパイプオルガンが置かれているのがわかります。
右の写真は主祭壇を背にして、西側正面入り口を見ていますが、2階席の部分 (Orgelempore)にその巨大オルガンが置かれていますね。
<Riesenorgelの歴史>
このRiesenorgelが置かれているこの場所には、シュテファン大聖堂のバロック化に伴い、Römerorgel(レーマーオルゲル)が1720年に設置されました。
1779年には32のレジスターから41に拡張されました。
1886年ドイツのオルガン製造者のEberhard Friedrich Walckerによって90のレジスターを持つ新しいオルガンが設置されました。
このオルガンが"Riesenorgel"と名付けられました。
名前の通り巨大なオルガンですが、ここの西側正面入り口である"Riesentor"に因んでいます。
このRiesenorgelが第2次世界大戦の終わりに、シュテファン大聖堂の屋根が落ちたことによって壊されてしまいました。
その後、1956年~1960年にウィーン生まれのオルガン製造業者Johann Marcellinus Kauffmannによって新しいオルガンが設置され、1960年10月2日にここに奉納されました。
125のレジスター、パイプの数は約10.000本で、オーストリア最大のパイプオルガンです。
しかし、戦後まもなく作られたこのRiesenorgelは部品の質や場所の問題などもあり、満足いく音響ではなく、最初から不評でした。
そこでオーストリアVorarlbergのRieger社の新しいオルガンが1991年に大聖堂の使徒の廊に設置されてからこのRiesenorgelは全く使用されなくなり、ここに置かれたままとなっていました。
その使用されていなかったRiesenorgelの修復が決まって、去年秋から作業が始められています。
修復を担当するのはやはりRieger社です。
左の写真を見て下さい。
こちらは西側正面入り口です。
写真は2017年12月6日に撮影したものですが、Riesenorgelがここから消えていますね。
ここに堂々と聳えていたパイプが全く無くなっていて、オルガンの土台の部分しか見られません。
これを最初見た時には、あれっと思いました。
私はこのRiesenorgelはシュテファン大聖堂に入る度に、また近くでも数え切れない程見ているので不思議な気持ちになりました。
大聖堂の中に入ると鉄格子がありますが、その左側の女性の廊に近い所に最初は目立たないのですが上の写真に見られるように大きなオルガンが置かれています。
普段からこにはオルガンなどはありませんでした。
そうです、これがRiesenorgelの鍵盤部分です。
4段鍵盤で、ペダル部分まで展示されています。
今までは一般にはまず見られることがなかったこのRiesenorgelは、修復の機会にここに置かれ、その歴史を教えてくれます。
2020年にRiesenorgelはここに蘇ってまた音を出してくれることになっています。
最初のRiesenorgelが壊されてからの75周年目ということになります。