年間を通して中央墓地に行くことが多くあります。
ここにはベートーヴェン、シューベルト、ヨハン・シュトラウスやブラームスなどの有名な音楽家達が多く眠っていて、音楽愛好家には外せない重要な観光スポットとなっています。
世界の墓地の中でこれだけ観光的に有名になっているのはこの中央墓地ぐらいではないでしょうか。
さらにここは映画「第三の男」の最初と最後にも登場し、特にラストシーンの並木道が有名です。
そのため音楽ではなくて、映画ファンも多く訪れるわけです。
この映画は個人的に大好きです。
この中央墓地にはモーツァルトの記念碑はあってもお墓はありません。
モーツァルトのお墓は聖マルクス霊園というここではない別の場所にあります。
ただ・・・遺骨がないということはあまりにも有名です。
モーツァルトが亡くなった時、彼は忘れ去られて無名状態でした。
そこで3等級という当時の庶民的な埋葬方法が選ばれました。
これは大きなスペースの中にたくさんの遺体を麻袋に入れて、(もしくは麻布にくるまれて)投げ込んで、上から石灰をかけて終わり・・・数年後再びそこには掘り返して別の遺体を埋葬する・・・という質素なスタイルでした。
そもそも19世紀半ばぐらいまで、貴族や聖職者以外には碑を立てるという習慣はありませんでした。
モーツァルトが亡くなった後、未亡人となったコンスタンツェや、彼女が後再婚するニッセン等の努力からモーツァルトが知られるようになっていきます。
そこでついにウィーン市がモーツァルトの埋葬場所を探すようになりましたが、遺骨がバラバラで判別不可能でした。
そこで・・・
モーツァルトがほぼ埋葬されたであろう・・・という場所に記念碑を立てました。
その記念碑がモーツァルト没後100年後、つまり1891年にすでにオープンしていた大きな中央墓地に移動したのです。
中央墓地に行けばこの記念碑が見られるわけですね。
記念碑が持って行かれたここSt.Marx には新たに天使がたたずむ悲しげなお墓が作られました。
これが現在のモーツァルトのお墓ということになります。
上の写真は2017年12月29日の昼頃に撮影したものです。
モーツァルトのお墓周辺は2016年の夏の終わりから秋にかけて綺麗になりました。
墓石がなくなっているモーツァルトのお墓でその時の様子を少し書いています。
中央墓地は他の団体ツアーにも会いますし、一番有名な場所で写真を撮っている人をよく見かけますが、聖マルクス霊園はいつ来ても静かでひっそりとしています。
この場所はちょっと来づらいということも理由のひとつだと思います。
この日はいい天気でこの霊園を歩いていても気持ち良かったです。
St.Marxは1784年から約90年間墓地として使われました。
中央墓地ができるにあたって、周辺墓地と同様に閉鎖されるはずでしたが、当時のヨーロッパで貴重な「ビーダーマイヤー様式の墓地」ということから残されました。
しかし墓地の機能はなく、墓石がそのまま並べられた公園としてウィーン市が管理しています。