ウィーンは"音楽の都"とも形容され、これだけ多くの作曲家が足跡を残した街はないでしょう。
クラッシック音楽に興味があれば誰もがウィーンを訪れたいと思うのではないでしょうか。
年間を通して仕事をしていると毎年多くの音楽専門ツアーをアテンドしますが、最もポピュラーな作曲家と言えばモーツァルトとベートーヴェンでしょう。
モーツァルトは住んだ場所は多く残されていますが、博物館としてはモーツァルトハウスウィーンだけです。
ベートーヴェンはハイリゲンシュタットの遺書の家、パスクヴァラティハウス、エロイカハウスの3つが一般公開されていて、それ以外多くの住んだ場所があります。
このハイリゲンシュタットの遺書の家は年間を通じて頻繁に御案内していますが、今年7月3日から改装工事が行われてしばらくクローズしていましたが、大きくリニューアルされて11月25日にオープニングセレモニーが行われ、以前と同じ時間帯で再び見学できるようになりました。
ベートーヴェンの遺書の家は中心からかなり離れていて、ちょっと行き難いのが難点ですが、ベートーヴェンファンにとっては聖地になるのではないでしょうか。
ここで1802年10月6日付でベートーヴェンが死を決意する遺書を書いたことになっています。
現在ではウィーン19区の一角ですが、当時はハイリゲンシュタットと呼ばれていたVorortでした。
現在でもハイリゲンシュタットという地名は残されていますし、この地名で呼ぶ人も多くいます。
右の写真は遺書の家の入口部分ですが、ここも修復されて非常に綺麗になりました。
もちろん昔と変わっていません。
入り口から中に入ると左の写真に見られる中庭です。
ここも建物は修復されましたが、見かけは以前と全く変わりません。
写真には2つの階段が見られますが、以前は左側の階段を上がって遺書の家としての博物館が一般公開されていました。
博物館と言っても部屋はたった2つで、最初の部屋にベートーヴェンの遺書のファクシミリや、この辺りの風景画、彼の像、ツェルニー、医者、リヒノフスキー侯爵などの絵があって、2つ目の部屋は、Schwarzspanienstr.にあるベートーヴェンが亡くなった最後の住居からの資料が展示されていました。
リニューアルされたベートーヴェンの遺書の家は何が変わったかというと・・・
とにかく展示スペースが以前とは比較にならないぐらい増えました。
外観は以前とは全く変わりませんが、以前使われていなかった部屋などを博物館スペースとしてりニューアルして、全部で6つの部分から成り立つ大きな博物館となりました。
展示物も充実し、多くのことを知ることができます。
入口から中庭部分に入ると、すぐ左側が係がいる窓口となっていて入場料はそこで払います。
同時にそこはショップとなっていて、以前とは違いショップのスペースもしっかり確保されています。
見学はこの係がいる建物から始まります。
見学スペースは6つの部分から成り立ち、入り口にはそれぞれ番号が記されています。
上の2枚の写真は展示スペース1で、"ankommen"というテーマになっています。
ベートーヴェンがボンからウィーンに到着するまでの内容です。
もともとここはパン屋さんの建物でした。
こちらは展示スペース2で、"erholen"というテーマです。
ここではタイトルが"休息"で、散歩しているベートーヴェンの肖像画などが飾られています。
この部分がかつての遺書の家として公開されていた所です。
こちらは展示スペース3の"komponieren"・・・作曲です。
ここには以前パスクヴァラティハウスに展示されていたピアノを見ることができます。
ベートーヴェンが実際に住んでいたのはこの展示スペース3ということになっています。
左上は展示スペース4の"verdienen”、右上は展示スペース5の"aufführen"です。
ちょっとしたサロンコンサートができるような雰囲気ですね。
このスペースは以前私的ベートーヴェン財団が管理していて、貴重な資料が多く展示されていました。
こちらは最後の展示スペース6で、"vermachen" です。
展示スペース1と6は地上階に、2,3は中2階、4,5は2階部分となっています。
ここはしっかり見学したらかなり時間がかかりますので、ベートーヴェンファンの方は時間に余裕を持って行かれることをお勧めします。