年間を通して生活の中で一番重要な行事はクリスマスでしょうか。(宗教的には復活祭ですが)
クリスマスがあと何日したら来るんだろうとワクワクしながら待つこの時期をアドヴェントと呼んでいますが、クリスマス市が立ち並び、街中のイルミネーションや飾り付けなどクリスマス時期のウィーンはこの時期ならではの空気が流れていて素敵です。
さて、一昨日の12月6日は聖ニコラウスの日でしたが、今日は聖母マリアに関する重要な日です。
今日12月8日はMaira Empfängnis (マリア・エンプフェングニス)という祝日です。
マリア・迎える・・・というこのドイツ語の表現から、マリアがイエスを授かった・・・つまり受胎告知の日だと思われている方がまだまだ多いですが、受胎告知とは全く違う祝日です。
Maira Empfänginis ・・・マリア・迎える・・・これは聖母マリア自身が穢れなくこの世に宿されたことを祝うもので、日本語では"無原罪の御宿り"とか"無原罪懐胎"と呼ばれています。
マリアが宿されたのは、マリアのお母さんであるアンナです。
そのためむしろこのこの祝日はアンナにも関係するわけです。
この無原罪の御宿りのお祭りは、10世紀ぐらいから存在していました。
1477年にローマ教皇SixtusIV世がローマに導入し、1708年にはClemens XI世 によってカトリック全体的に規定され、1854年PiusIX世がこの教義を公認します。
ちなみにマリア誕生はこの12月8日のMaira Empfängnisから9ヶ月後の9月8日で、受胎告知は3月25日となっています。
マリア誕生以前の話として、ナザレの街にヨアキムという、イスラエルの血を引く裕福な人物がいました。この人物こそが後にマリアの父親となります。
アンナと結婚して20年にもなるのに子供がいなかったという大きな悩みがありました。
ある祝日の日、信仰深い彼は神殿に捧げものを持参したら、祭司に子供がいない理由で拒否されてしまいます。
その理由は子のいない者は神の民を増やせないので資格がないということでした。
彼は絶望し、また一方アンナも同じ悩みを持ち、悲しみに暮れていました。ある日、突然天使がアンナのもとに現れ、"神はあなた達の願いを聞き取って下さった。しかも世界中に知られることになる人を身ごもるのです" というお告げがあり、その9か月後に高齢のアンナは無事に出産し、「マリア」と名付けられました。
キリスト教も、その母体となったユダヤ教も基本は人為的に作られたもので、そして時を重ねながら今日の形になった宗教であり、これはキリスト教やユダヤ教が始まるもっと前の時代、私達人類の先輩達が、生活の中での信仰心というものを自然に生み出していました。
特に有名な古い神様は地母神です。地母神は万物を生み出す力、生と死、豊穣や凶作、天界と冥界などを司る力を握っていました。母なる大地とも言いますね。
このオーストリアで見つかっている考古学上大変重要なヴィレンドルフのヴィーナスはその典型的な例です。
キリスト教が登場し、男性中心、女性蔑視という考え方が広がって来ると抑圧された人々の欲求が、古来の地母神に替わるものとして"マリア"が選ばられることになったわけです。
地母神が司っていた能力をそのままマリアに移しました。
そこで"永遠なる母性"ということで精神的な調和をはかったわけです。