早いもので今日から11月ですね。
ウィーンの街中もクリスマスイルミネーションが取り付けられ始め、市庁舎前もクリスマス市の準備が始まっています。
今日11月1日はAllerheiligen(アラーハイリゲン)という祭日です。
ちなみに日本では"祭日"という言葉は1948年以降は使用されなくなっていますが、キリスト教関係の祝日ですからあえて祭日という表現を使います。
Allerheiligenは全ての聖人という直訳で、日本語では"諸聖人の日"とか"万聖節"などと呼んでいます。
名前の通り全ての聖人に捧げるので、カトリックで聖人に列せられているポピュラーな聖人だけではなく、神以外は知らないその他の聖人や殉教者も対象となります。
ちなみに東方正教会では聖霊降臨祭後の最初の日曜日がAllerheiligenです。
AllerheiligenはカトリックではHochfestと呼ばれる重要な祭日となります。
今日はたくさんの地元の人達が墓地に行き、自分の先祖や亡くなった家族のお墓を訪れて祈りを捧げ、ロウソクや花輪などでお墓を飾ります。
年間を通して墓地が最も華やかで活気がある日となります。
Allerheiligen はどういう背景から生まれた?
初期キリスト教時代は多くの殉教者を生み出し、多くの聖人達が登場することになり、それぞれの聖人達をそれぞれ特定の日に祈りを捧げるのは不可能となっていました。
死者に祈りを捧げるという習慣は古代ローマ時代のキリスト教文化には存在していました。
東側の正教会では4世紀の始めに登場したことが知られています。
おそらく当時の4大総主教座のひとつであるアンティオキアから始まったようです。
西側教会では609年か610年に教皇ボニファティウス4世がローマのパンテオンで聖母マリアと全ての殉教者達に捧げ、復活祭後の金曜日としてこれが毎年の習慣と定めています。
その100年後教皇グレゴリウス3世が全ての聖人に捧げた礼拝堂をサン・ピエトロの中に奉納し、そこからローマ市は11月1日にこの日が移されました。
8世紀終わりにはフランスでもこの11月1日にAllerheiligenが行われるようになり、時と共に西側カトリックではこの11月1日に行う習慣が広がって行きました。
そして835年に教皇グレゴリウス4世が西側カトリックでは11月1日がAllerheiligenと正式に定めることになります。
ちなみに次の日の11月2日はAllerseelenという死者の日とか万霊節と言われ、信仰を持って亡くなって行った人を対象としています。
本来であれば一般の人は11月2日にお墓参りをするのかもしれませんが、11月2日は平日であることもあり、多くの人は祭日である11月1日に墓地に行きます。
そういう意味では日本で言うお盆にあたります。
昨日話題にしたハロウィン習慣も同じ時期ですが、オーストリアは歴史ある国ですから私は個人的にハロウィンは相応しくないと思っています。
うちにも昨日は仮装した近所の子供達が入れ替わり訪れて来て、10回ぐらいは家の呼び鈴の音を聞きました。
いちいち玄関の扉を開けて対応するのもめんどうなので、うちは入口目の前にたくさんのお菓子を載せたプレートを出して置きました。