この時期話題性があるおいしかったシルヒャー・シュトゥルムも先週で最後となりました。
収穫したブドウをプレスして、発酵させてワインにするわけですが、シュトゥルムとは絞ったブドウジュースの発酵が始まった飲み物で、ブドウジュースの甘さと発酵しているガスが混ざり、さらにアルコールが少し出始めた絶妙の飲み物です。言ってみれば"濁り酒"です。
絞りたてのブドウジュースはTraubensaft(トラウベンザフト),そのTraubensaftの発酵が始まる前をMOST(モスト)と呼ばれますが、MOSTはいわゆる果物から絞ったジュースの名称であり、この段階でのブドウジュースはTRAUBENMOST(トラウベンモスト)と呼ばれています。TRAUBENMOSTも場所によってはアルコールが少し入ってる場合もあります。
シルヒャー・シュトゥルムは同じシュトゥルムでも全く違う別格のものです。
一昨日の10月21日の土曜日は団体ツアーの皆様と一緒で、午前中はシェーンブルン宮殿のグランドツアー、その後は旧市街の徒歩観光が入っていました。
王宮のミヒャエル広場~コールマルクト~グラーベン~シュテファン大聖堂と歩きながらウィーンの歴史を御案内したわけですが、グラーベンではシルヒャー・シュトゥルムのスタンドが出ているだろうな・・・と思いながら近づいてい行くと、予想通りオーナーのトーマスさんが手を振ってくれました。
この日は時間が少しあったのでこの希少価値があるこのシルヒャー・シュトゥルムについて少し御案内をしたらすぐにここで飲もう!ということになりました。
添乗員さんを含めて34名のツアーだったのですが、ほとんどの皆さんがここでシルヒャー・シュトゥルムを飲まれました。
この週の火曜日も例外的にここのスタンドが出ていて、オーナーは「来週の月曜日まで・・・つまり今日が最後になりそうだ」と言っていましたが、売れ行きが良かったのでしょうか、この土曜日が千秋楽となりました。
千秋楽は皆さんとシルヒャー・シュトゥルムを飲むこととなりました。
この日は朝から霧が立ち込め、途中から小雨も降り始めたどんよりした天気でしたので、残念ながら青空は見られませんでしたが、大いに盛り上がりました。
"Schilcher" (シルヒャー)とはオーストリア産の
"Blauer Wildbacher"という赤ワインになるぶどうの品種からできたワインの名称です。
特に"Wildbacher"という品種からできたワインは明るい赤色になることからロゼとも言われます。
グラーツを州都とするシュタイヤーマルク州ではロゼのワインが作られることで有名で、"Schilcher" はシュタイヤーマルク産のワインだけに用いられる登録商標です。
そのロゼワインになる途中の発酵中の飲み物ももちろんシュトゥルムと言われますが、特にこの場合のシュトゥルムは"Schilcher Sturm"(シルヒャー・シュトゥルム)と言われています。
ウィーンではそうやたらに飲むことができないので希少価値があるわけですね。
シルヒャー・シュトゥルムも終わり、11月の半ばにはクリスマス市が出始めます。
ウィーンの街はクリスマスに向けてまた別の顔を見せてくれます。