ウィーンの公共交通機関は世界でも5本指に入る営業距離数で、広いウィーンの街を縦横しています。
ウィーン公共交通機関を実際に使用して個人で観光された方は、この街の路面電車や地下鉄、路線バスがいかに多く走っていて、とても便利かということがわかると思います。
2015年はリンク道路開通150周年記念であると同時に、路面電車開通150周年でもあったわけです。
つまり1865年から路面電車はウィーンの市民の足として今日まで活躍しています。
19世紀後半のウィーンは今以上に人口が増加し、昔の城壁が壊されてリンク道路も建設され、その周りには色々な建造物が立ち並ぶ都市改革が行われました。
ウィーンの街が時代に対応するために色々なことが行われた近代の最後である19世紀の終わりにはウィーン市内にも路面電車よりも速くてウィーンを縦断する長い距離を走る鉄道をという考えがありました。
そこでStadtbahn(シュタットバーン)という市営鉄道が有名な建築家オットー・ヴァーグナーのプランによって実現します。
このStadtbahnは5路線、接続部分を含めると以下6路線がウィーンの街に登場することになります。
開通した日 | 名称 | 走行区間 |
1898年5月11日 | Vorortelinie | Hütteldorf-Hacking – Heiligenstadt |
1898年6月1日 | Obere Wientallinie | Hütteldorf-Hacking – Meidling Hauptstraße |
1898年6月1日 | Gürtellinie | Meidling Hauptstraße – Heiligenstadt |
1899年6月30日 | Untere Wientallinie | Meidling Hauptstraße – Hauptzollamt |
1901年8月6日 | Donaukanallinie | Hauptzollamt – Heiligenstadt |
1901年8月6日 | Verbindungsbogen | Brigittabrücke – Nußdorfer Straße |
走行区間を見ると興味深いものがあります。
Vorortelinieに見られるHütteldorfは現在の地下鉄4号線(U4)の終点の駅、そこにはÖBB(オーストリア連邦鉄道)の駅もあり、Heiligenstadtも現在の地下鉄4号線(U4)の終点の駅でそこにもやはりÖBBの駅があります。
この路線は現在ÖBBのS45が走っています。
S45の終点はHandelskaiです。
Obere WientallinieはHütteldorfからMeidling Hauptstaraßeで、現在の地下鉄4号線です。
GürtellinieはMeidling Hauptstaraße~Heiligenstadtで、ちょっと路線が違いますが名前から想像できる通り、明らかに地下鉄6号線であることがわかります。
Untere WientallinieはMeidling Hauptstaraße~Hauptzollamtですが、このHauptzollamtは現在の市立公園脇にあるヒルトンホテルあたりで、地下鉄4号線(U4)が走っています。
そうです、ここは現在Wien Mitteとなっていますね。
DonaukanallinieはこのHauptzollamt~Heiligenstadtで、やはり名前から想像できる通りドナウ運河沿いを走っていますので、現在の地下鉄4号線(U4)です。
Verbindungsbogenは接続部分で、今の地下鉄4号線(U4)Friedensbrücke~地下鉄6号線(U6)までを結んでいましたが、現在では路線跡は見られますが何も走っていません。
つまりStadtbahnは現在のU4、U6、国鉄に変わって当時の路線を利用しています。
前述した建築家オットー・ヴァーグナーのプランによる駅舎は当時の時代様式を見ることができ、今でもたくさんウィーンの街で使われています。