オーストリアの世界遺産のひとつに登録されているヴァッハウ渓谷は全長2.800km以上もあるドナウ河の最も美しい所として知られ、ローマ時代からの歴史ある街がぶどう畑と共に点在している情緒ある風景が広がっています。
ヴァッハウ渓谷は私も大好きな場所のひとつで、仕事でもプライベートで家族ともよく出かけます。
4月~10月終わりまではDDSGとBRANDNERの船が上り下りしています。
ウィーンからもシーズン中はヴァッハウ渓谷の日帰りツアーがよくあります。
たいていはウィーンを出発して午前中はメルク修道院を見学し、お昼を食べた後はドナウ河クルーズ、そしてデュルンシュタインで下船してそこを少し散策してからウィーンに戻るという内容です。
ドナウ河を進行方向右側に見てデュルンシュタインからバスに乗って"ドナウ国道"と言われる国道3号線経由でウィーンに戻ります。
その時、国道にヴァッハウ渓谷の"始まり"と"終わり"を示す案内表示が立てられています。
上に見られる2枚の写真がドナウ国道沿いに立てられているヴァッハウの始まりと終わりの案内表示です。
この場所はドナウ河を左に見て、そのドナウ国道をメルク方面に行くとStein(シュタイン)というクレムスと並んで有名な街があり、そこを過ぎてちょっと走った右側に立っています。
実はこの案内表示は1枚だったんです。
つまり、表と裏というわけです。どちらも同じWACHAUで同じ模様ですが、左には"BEGINN"と書かれていて始まり、右側は"ENDE"と書かれていて終わりを表しています。
その下に小さく書かれているのはWEINBAUGEBIETという表示でこれはワイン産業地域という意味で、"WACHAU"という有名なぶどう畑(ワイン産業地域)が始まってここで終わることを示しています。
世界遺産のヴァッハウ渓谷ではクレムス~メルクですが、ワイン産業地域を基本とするとクレムスはヴァッハウではなく、Kremstalという別のワイン産業地域となるわけです。
オーストリアワイン産業地域についてもどうぞ。
この案内標識の所に立ってドナウ河方面を見ると、確かにヴァッハウ渓谷の名前に使われている"渓谷"のような山がちょうどなくなっている場所であることがわかります。
左側の写真には"Weinstraße Wachau" (ヴァッハウワイン街道)という別の標識が見られますね。
本来ヴァッハウ渓谷の領域は世界遺産に登録されているヴァッハウ渓谷とはちょっと違い、メルクを過ぎてドナウ橋を過ぎてから、クレムスの手前のシュタインのそばのマウテルン橋の手前までの約30kmです。
ちなみにヴァッハウ渓谷には橋が1本もありません。
メルク~クレムスまでのドナウ河の長さは33kmぐらいですから、それよりも少し短くなるわけです。