今は休暇シーズンです。
年間を通して地元の人が一番多く地元を留守にする時です。
こちらは9月から新年度が始まりますので、学校も6月30日までで子供達も待ち望んでいた長い夏休みです。
ドイツ語で休暇はUrlaub(ウアラウプ)、学校での夏休みはFerien(フェーリエン)と呼ばれています。この時期はウィーンの街も交通量が少なくなり、逆に街中は工事現場があちこちに見られますから工事シーズンという言い方もありでしょうか。
全員が休暇をとっているわけではありませんから、当然働いている人だって多くいます。
夏休みでも親御さんの都合で学童や幼稚園に通っている気の毒な子供達も実は多くいます。
学校が休みであるということは、教師達も当然のことながら休みで、9月初めまで全く学校に行かない先生も多くいます。
知り合いに小学校の先生と、Gymnasiumの先生がいるのですが、彼らはこの時期が最高だ・・と言っていて、よほどのことがない限り2ヶ月以上も学校に行きません。
こちらの教師は働く時間が少ないんだな~・・なんて前から思ってましたが、実際オーストリアは本当に教師が実際にクラスで授業する時間がヨーロッパではとても少ないという統計が出ています。
どれくらい少ないのでしょうか?
右の表を御覧下さい。
これはOECD(経済協力開発機構)からのデータです。
これによるとオーストリアの教師は年間1.770時間の労働時間があります。1年は52週ありますから単純に計算すると週に34時間ということになりますね。これは普通のサラリーマンよりも4~5時間は少ないです。
さらに前述したFerienが2ヶ月ちょっとあるわけですから、これは羨ましいの一言です。
オーストリアには126.229人の先生がいますが、607時間が授業時間となっています。
これは週で16時間となり、実際の労働時間の半分以下ということになります。
オーストリアの教育委員会によると残りは授業の準備時間と授業後に使う時間ということ、また
オーストリアはマリア・テレジア時代からの官僚機構の影響で書類事がものすごく多く大変な時間がかかる・・・ということです。
オーストリアの(日本で言う)文部科学省は実態を把握していると言っています。
国 | 授業する時間 | 年間労働時間 |
スコットランド | 855 | 1.365 |
ドイツ | 750 | 1.757 |
オランダ | 750 | 1.659 |
イギリス | 745 | 1.265 |
スペイン | 713 | 1.425 |
ノルウェー | 663 | 1.688 |
デンマーク | 663 | 1.680 |
フランス | 648 | 1.607 |
スロヴァキア | 642 | 1.568 |
エストニア | 619 | 1.540 |
チェコ | 617 | 1.664 |
オーストリア | 607 | 1.770 |
ポルトガル | 605 | 1.442 |
ハンガリー | 594 | 1.640 |
ポーランド | 546 | 1.480 |
うちの隣にGymnasimの教員をしている夫婦がいますが、「年間で一番素晴らしい時がやって来たね」と言うと、喜んで「その通り」と彼らは言ってます。
彼らを見ている限り、生活を楽しんでいて教育に本当に熱心なのだろうか?と思うことがよくありますが、もちろんそれでオーストリアの教育を判断するつもりはありません。
いずれにせよオーストリアの教師はヨーロッパではかなり授業時間が少ないことが指摘されています。