ウィーンの街は今でもたくさんの石畳の小路があります。でも中心部のケルントナー通りとかグラーベンなどの歩行者天国を行き来するだけでは石畳が敷かれた風情ある小路は見られません。そこから離れて気の向くままに歩いて下さい。時として迷うかもしれませんが、ウィーンの旧市街は迷うぐらい歩いた方がおもしろですよ。
突然時が止まったかのような気になる石畳が敷かれた小路に出会うでしょう。
団体ツアーの場合は大型バスですから、シェーンブルン宮殿やベルヴェデーレ宮殿、リンク道路などが一般的で、シュテファン大聖堂や王宮などにも行きますが旧市街地を歩いて深く徒歩観光することは多くありません。
でも個人旅行のお客様とは頻繁に旧市街の徒歩観光をしますが、その時に私は必ずと言っていい程どこかの石畳の小路を御案内しています。石畳の小路は旧市街だけではなく、ウィーンの外側の区や郊外でも多く見られます。
先日、いつものように旧市街を徒歩観光中に石畳を並べている工事現場に出会いました。
この狭い小路が完全な工事現場となっていて、石畳を水準器を使ってしっかりと測って置いている光景です。
普段は石畳の上を歩いているわけですから石畳が取り外されたこのような光景は珍しいですね。
この時に作業している方と話をしましたが、サイコロのような石畳を一つ一つ水準器で水平になるように測って、升目が交互になるように置きます。狭い隙間でも石畳が持ち上げられるような、石畳を挟む大きなペンチのような道具を持っていて作業をしています。ひとつの石畳のブロックの重さが5~7kgということです。
この場所はBlutgasseで、旧市街のシュテファン大聖堂が近くにある閑静な一角です。
右の写真の一番奥にはモーツァルトハウスが見えています。
土の部分を見るとそれなりに傾斜していることがわかりますね。もちろん水平になるように並べていきます。
脇には石畳のブロックが山のように積まれていました。
石畳のように道路舗装のようなものは、紀元前4000年頃メソポタミアでも確認されています。
またエジプト人なども物資を運び易くする為に使っていました。古代ローマ時代に飛躍的に進歩したわけです。
近代的なアスファルトなどが登場する以前からヨーロッパでは石による道路舗装が行われていました。
ウィーンでは皇帝フェルディナント1世時代の16世紀ぐらいから本格的な道路舗装が行われたようです。
ウィーンの旧市街を歩いている時に石畳の小路を探してみてはいかがでしょうか。そこには中世を感じさせる空気がきっと漂っています。