私はオーストリア国家公認ガイドとして年間を通してお客様に様々な場所を御案内しています。もちろんウィーンが圧倒的に多いですが、オーストリア国家公認ガイドのライセンスはオーストリア全土を案内できますから、ザルツブルク、インスブルック、グラーツ、ヴァッハウ渓谷、ウィーンの森、アイゼンシュタットなど色々な所に出かけます。
ウィーンだって御案内するグループや個人旅行のお客様によって観光場所は様々ですから、毎日同じ場所に行って同じことを話しているわけではありません。何日も御一緒させて頂くお客様から半日でお別れするお客様まで様々で、日本だってそれなりに広い国ですし、様々な分野のお客様と出会うわけですね。その時のお客様が何に興味があるか、どのくらいヨーロッパ文化を知っていらっしゃるか、今までどこに行って来たかなどを考慮して、つまりその時のお客様の空気を感じ取って案内しています。
そういう意味ではバラエティーに富んだ非常に奥が深い仕事だと思っています。
さて、今日書きたかったテーマとはちょっとずれた内容から始まってしまいましたが、よく行く観光場所にウィーンの森があるわけです。先日ウィーンの森の観光をした時に修道院のステンドグラスの反射がちょっと印象的だったのでここに書き留めておきます。
ここはウィーンの南の森にある有名なハイリゲンクロイツ修道院です。この修道院はシトー修道会で、ドイツ語ではZisterzienserと呼ばれ、ベネディクト会から枝分かれし、フランスのシトー(Saint-Nicolas-lès-Cîteaux・・・ブルゴーニュ地域の街) に1098年に設立された、ベネディクト会の改革宗派です。
この修道院は個人で見学することはできず、公認ガイドと見学するか、ここのガイドツアーに参加する必要があります。Kreuzgang(回廊)の建築様式が印象的で、中庭を囲んだ美しいスタイルです。
この回廊からそのままKapitelsaal(カピテルザール)という集会室に入ります。そこは左上の写真に見られる空間でバーべンベルク家のフリードリヒ2世のお墓が中央にあります。その奥には美しいステンドグラスがはめ込まれている丸い窓と細長い窓が2つあり、外が明るい時には美しく見えます。
右の写真はそのステンドグラスを通った外からの光が木の床に反射しています。
この日は午前中10:30頃で、青空が広がるとてもいい天気でした。この時間帯だけ太陽からの光がこのように差し込んで来るので、普段よりも美しく見えます。
ステンドグラスと言うとゴシック様式の教会をすぐ思い起こさせますが、ここのステンドグラスは19世紀に制作されたものですが、芸術性が高いことで評価されています。
上の2枚の写真は太陽の光がステンドグラスを通して、手前の石の壁に美しい色を反射していますね。
ステンドグラスは外が明るければ教会内ではそれなりの効果で見られますが、このように壁にまでステンドグラスの綺麗な色が反射するためには太陽の光が強く直接の角度で当たる必要があります・・・ということは時間が限られているわけですから当たり前のように頻繁には見られません。
シュテファン大聖堂の中世のステンドグラスもどうぞ。