今日はキリスト昇天祭の祝日で、明日の金曜日も休みを取って長い週末を楽しむ方が多いです。
さて、ヨーロッパでフレスコ画と言うと教会の天井画をイメージすることが多いですが、教会だけでなく宮殿とか建物の重要な場所にもよく描かれています。
ウィーンではシェーンブルン宮殿の大広間のフレスコ画は有名で、ここには大広間に3ヵ所と隣接している小広間に見られます。
(シェーンブルン宮殿は宮殿内部での撮影が禁止されているのでここには取り上げません)
その他にもベルヴェデーレ宮殿の上宮大理石の間やカールス教会も見る価値があります。
ベルヴェデーレ宮殿のフレスコ画、ベルヴェデーレ宮殿下宮のフレスコ画、 王宮のプルンクザール、カールス教会のフレスコ画、ペーター教会のフレスコ画、アンナ教会、メルク修道院なども御覧下さい。
今日は観光的にはあまり知られていない歴史的に重要なフレスコ画を話題にします。
この建物はÖsterreichische Akademie der Wissenschaften (オーストリア科学アカデミー)で、マリア・テレジアの時代1755年Jean Nicolas Jadot de Ville-Issey というフランスの建築家によるもので、ウィーン旧市街のDr-Ignaz-Saipel-Platzにあります。
この建物はかつてのウィーン大学の"Aula"(講堂)で、この場所は Universitätsplatz (大学広場)と呼ばれていました。
ここがウィーン大学の時代にはいわゆる法学部が入っていました。
ウィーン大学は1365年創立で、一昨年2015年が650周年記念でした。
この建物は建築様式的も重要なロココ様式となっていて、ここは1848年までウィーン大学として機能していました。
現在のウィーン大学はリンク道路沿いにメインキャンパスがあります。
この建物の上階にはFestsaal (フェストザール)という祝祭の間がありまが、ここの天井フレスコ画が素晴らしいです。
Festsaalは写真に見られるようにロココ様式の美しい空間で、それに見事にマッチしたこの天井のフレスコ画はGregorio Guglielmi(グレゴリオ・ジュリエルミ)という1714年イタリアのローマ出身のフレスコ画家による壮大なものです。彼は前述したシェーンブルン宮殿の大広間の天井フレスコ画も手掛けています。
この天井フレスコ画は医学、哲学、神学、法学の4つの重要な学部を表しています。
中央部分にはマリア・テレジアと夫であるフランツ・シュテファンが描かれていて、天使が2人に月桂樹を捧げようとしています。
シェーンブルン宮殿のフレスコ画と比べるとかなり暗いような印象を受けますが、ここは実際に窓が少ないことや、フレスコ画の色がかなり重厚であるからではないでしょうか。
この空間で1808年3月27日 ハイドンの天地創造が演奏されたことは有名で、そのシーンは同じく知られた絵になってハイドン博物館で見られます。
この時はハイドンが聴衆の前に現れた最後となりました。