Neusiedler See(ノイジードラー湖)

オーストリアはウィーンを含めて9つの州がありますが、そのひとつのBurgenland(ブルゲンラント)州は晴天の日がオーストリアでは年間を通して一番多い州であり、土地も安いことからここに家を持っている人が多いです。

先日Burgenland Kul(t)inariumを話題にしましたね。

 

この州の州都はEisenstadt(アイゼンシュタット)でここにはハイドンが長く仕えたエスターハーズィ宮殿がありこの街のシンボル的な存在になっています。余談ですがここのハイドンザールは音響がいいことで有名です。

年間を通してこのアイゼンシュタットを御案内することもよくありますが、その時にもっと奥にあるルストやメルビッシュに行くことが多いです。いつか時間がある時にまた話題にしますが個人的にルストの街は情緒があって好きです。特にルストはコウノトリが来る街として知られ、ワインでも有名です。ワインと言えばこのブルゲンラント地方はヴァッハウ産に勝るとも劣らない生産地で、特に甘口や赤の質が高いワインが多く作られています。ルストやメルビッシュと言うと地元ではこの州に大きく横たわっているNeusiedler See (ノイジードラー湖)がすぐに浮かび、この2つの街は共にノイジードラー湖に面しています。

今日は今までなぜか話題にしなかったこのNeusiedler Seeについて少し書きます。

 


 

Neusiedler See (ノイジードラー湖)は320km²もある中央ヨーロッパで最大のステップ湖です。地図を見ると縦に細長い形をしていて長さ36km、幅14kmですが、もちろん綺麗な長方形をしているわけではありません。

この湖はオーストリアだけではなくハンガリー領にも渡っていますが、230km²がオーストリア領です。

 

ステップ湖とはとても浅く平らで水位の変動が著しく,雨や雪などの天候に水量が左右される内陸の湖で,流入する河川はあっても流れ出る所がない湖です。

実際このNeusiedler SeeはWulka川だけからの水が流れ込んできますが、流れ込んで来る水量よりも多くの水が蒸発しています。

過去には100回ぐらいここの水が干上がった記録があり、19世紀後半にもここの水がなくなり土地の権利争いがあったことも知られていますが、決着がつかないうちにまた水に満たされ、一時の喜びでした。

アシ(ヨシ)がたくさん生育していて、様々な野鳥や魚が生息しています。彼らにとってもここは天国です。

ウォータースポーツも盛んに行われ、ここで泳ぐ人もたくさいます。私も何回もここで泳いだことがありますが、水位は深い所でも2mないぐらいで、一般的に皆さんが楽しむ場所は普通の大人の腰ぐらいの高さの水位がずっと続いていて、小さな子供達も安全に水遊びができるわけです。

Neusiedler Seeはここの景観と合わせて世界遺産にも登録されています。

 

左上の写真はNeusiedler Seeが一瞬どこにあるかわかりませんが、ずっと奥に平らに広がっていますね。

この湖の全体像が見られる所はほとんどなくて、ある意味では一箇所だけ、それはルストに向かう途中のSt.Margarethenをちょっと過ぎた小高い所から見るのが定番です。この写真はそこからの眺めですが、ここは駐車場がないので大型バスで移動している時には不便ですが、ちょっと寄り道する価値が十分あります。余談ですがこのSt.Margarethen はRömersteinbruchというローマ時代からの石切り場で、2.000年前から現在までもここから石が切り出されています。石の種類は石灰砂岩です。この場所もNeusiedler Seeの景観として世界遺産に含まれています。

右の写真はルストの街から見たNeusiedler Seeです。奥にはたくさんのアシが見えます。

 

 

こちらはNeusieder See を目の前で見ています。湖の底の地質上から水が濁っているように見えますが、ドナウ河同様に水質は悪くありません。

オーストリアは豊かな自然がある美しい国ですが、海がないことが非常に残念です。そのためこのNeusiedler Seeはザルツカンマーグートに見られるような氷河から形成された湖と同様に地元では人気のある場所となっています。

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