3月の最後の週はいい天気が続き、日中の気温も20℃を超えてとても暖かくなりました。ウィーンの街は緑が多くなり、一挙に春の空気が広がっています。
街中の公園にある芝生の上ではたくさんの人がくつろぎ、ベンチにもたくさんの人が座って春の日差しを楽しんでいます。
今年の1月は本当に寒かったので、2月や3月に咲く花は例年よりひと月は遅く咲き始めました。
この春の訪れにタイミングよく復活祭がやってきます。
ドイツ語で復活祭は"OSTERN"(オステルン)と言いますが、これは厳密には"復活祭"という訳ではありません。
復活祭についてはその時にまた触れますが、これは宗教的に文字通りキリストが復活したことを祝うものですが、生活の中ではむしろ春の訪れを祝うような空気の方が多く感じられると思います。
街中を少しでも歩けば復活祭に関するデコレーションを店のショーウィンドウなど至る所で見ることができます。
ヨーロッパ文化はキリスト教なくしては語れません、キリスト教の歴史的習慣などが、現在のウィーンの生活にも現在の感覚として浸透していることがわかります。
今日はタイトルにある通り、復活祭の代表的な3つのシンボルについてまとめます。
Osterhase(オスターハーゼ)
オスターハーゼは復活祭のうさぎです。
Osterhase(オスターハーゼ)が復活祭のシンボルになったのは、実はそんなに古いことではなく、17世紀終わりからということです。それより前には存在していませんでした。
それまではうさぎではなく、こうのとり、にわとり、きつねがたまごを運んでくるという習慣はありました。
うさぎは春先にたくさんの子供をもうけます。
それが"新しい生命"を象徴し、そこからキリストの"復活"と結びつきました。
Osterei(オスターアイ)
たまごもうさぎと同様、新しい生命の象徴です。
このたまごは、前述したOsterhaseが持って来るということになっています。
現実にうさぎがたまごから生まれるということはないですし、うさぎがたまごを運んで来ることももちろんありません。
また、たまごには色が塗られていて、赤、青、緑、黄色といった一色だけのたまごもあれば、カラフルなたまごもあり、スーパーなどでもゆでたまごとしてたくさん売られています。
Palmkätzchen (パルムケツヒェン)
Palmkätzchen (パルムケツヒェン)も、花屋さんでは必ずこの時期には並んでいて、レストランやお店の中などにも飾られていたりします。
そのヤナギの枝にたまごがぶら下がっていることも多く見かけます。
聖書にはイエス・キリストがロバに跨って復活祭前の日曜日エルサレムに入城した時、人々はシュロ(ヤシ)を振りかざしてイエスを迎えました。
でもこちらヨーロッパの内陸ではヤシがありませんでした。現在ではいくらでも買えますし、南に行けばたくさんあります。
そこでいつしかネコヤナギが代わりに使われるようになり、家をネコヤナギで飾る習慣が生まれたというわけです。
本来であれば、Palmkätzchenではなく・・・パルムはヤシ、Weidekätzchen(ヴァイデケツヒェン)ですね。Weideはヤナギです。
でもこちらではPalmkätzchenと呼ばれています。
ネコヤナギは蜂にとって春の最初の食べ物のひとつです。
そんなことから春の訪れ・・・同時に復活祭のシンボルとなっているわけです。
地元では復活祭のこの時期になると当たり前のようにこのような象徴的な物を飾ります。
このような習慣もキリスト教の歴史を少しでも振り返ってみると、しっかりとした理由があって現在の私たちの時代に受け継がれていることがわかります。
このような意味がわかっているとまた楽しいですね。