オーストリアは小さい国ではありながら、ヨーロッパに与えた歴史的文化的影響は計り知れないものがあり、観光の全ての魅力を持っている美しい国です。
その反面、物価はヨーロッパでは高い方で、税金もかなり高い割合で設定されています。
税金が高いといううことはそれなりに社会福祉も充実していると思いますが、その中でFamilienbeihilfe(ファミーリエンバイヒルフェ)という子供手当について新しい動きがあります。
オーストリアはオーストリア以外のEU諸国に住んでいる子供達を対象にとても多くの子供手当を払っています。
この"EU諸国の子供達"とは、両親がオーストリアで働いていて、その子供達は元々の両親の出身国で生活をしているという子供達のことです。
これらの子供達(実際には子供手当として親がオーストリアからもらうわけですが)は、オーストリアに住んでいる子供達と同じ金額をもらっているわけですが、これを少なくしよう・・・ということです。
オーストリアの外相Sebastian Kurz氏は、「子供手当をそれぞれの国の物価水準に合わせるべき」という強い主張をしています。
オーストリアはヨーロッパで物価が高い国なので、物価がまだまだ低い国がオーストリア国内と同じ金額をもらうというのは不公平であり、理不尽だということです。
実際にオーストリアはどのくらいの子供手当をEU諸国に払っているのでしょうか?
右のデータを見て下さい。
これは2015年度のものです。
単位はユーロで年間での合計金額です。
ハンガリーが圧倒的に多く、スロヴァキア、ポーランドとかつての共産圏の国々に多く支払われています。
ドイツはかつての東欧圏と比べたらかなり少なく600万ユーロですね。
ハンガリー | 64.700.000 |
スロヴァキア | 60.000.000 |
ポーランド | 37.000.000 |
ルーマニア | 27.000.000 |
スロヴェニア | 17.000.000 |
チェコ | 17.000.000 |
ドイツ | 6.000.000 |
オーストリアでは子供一人に対して子供手当が現状では月に109ユーロ~217ユーロが支払われています。
ちなみにハンガリーでは子供一人当たり39ユーロですから全く比較になりません。
オーストリアの社会保障を受けていても、その子供達が物価がまだまだ低い所で生活しているわけですから、その国の物価に合わせた子供手当を支給するべき・・・ということですね。
これはEUの取り決めに違反することは全くない正当論です。
オーストリアは年間約250.000.000ユーロの子供手当をオーストリア以外に支給しています。