ウィーンには星の数ほどレストランがあり、地元のウィーン料理を始め、あらゆる地域の料理を食べることができます。かつての帝国の都であるウィーンの街は宮廷文化が栄え、ハプスブルグ家自らも王宮・銀器食卓調度保管室という名で大きな厨房を構え、しっかりと組織されて運営されていました。
当時のハプスブルグ帝国時代には色々な言語を持つ民族がいましたから、それぞれの地域からの郷土料理がウィーンの宮廷に集まって、そこから"ウィーン料理"という表現が定着しています。世界の色々な都市の名前が"~料理"となっている所はあまりないですね。ウィーンは"ウィーン料理"と呼ばれています。
多くのレストランでは季節の旬の物を提供していますが、そのひとつで最近とてもおしいかったスープを今日話題にします。
こちらはBärlauchcremesuppe(ベアラウホクリームズッペ)です。
Bärlauchとは学名ではAllium ursinum、日本語ではラムソン、ヒガンバナ科、ネギ属の多年草です。
葉はスズランに似ていて、濃い緑で、薄くまっすぐです。葉をちぎってみるとニンニクの香りがすぐに漂います。
ラムソンは花を咲かせてしまったら葉を食べるのにはもう遅いので、かなり早い時期から葉を摘んでる地元の人を多く見かけます。
ウィーンの森、川沿い、緑豊かな水郷、茂み、落葉樹林地帯などにとにかく多く見られます。
去年2016年のラムソンについて書いていますので御覧下さい。
写真のラムソンのクリームスープはレストラン グリーヒェンバイスルのもので、数日前に食べました。
この時期は色々なレストランでBärlauchcremesuppeが提供されていますが、このグリーヒェンバイスルのものは特に美味しかったです。
飲んだ瞬間にラムソンのコクのある味がすぐに伝わってきます。実際にラムソンの葉をちぎるとニンニクのような匂いがしますが、スープではそれを感じませんのでニンニクのクリームスープとは全然違います。
クリームの泡立ち加減や塩加減もピッタリで、おいしいのひとことです。
スープの中に浮かべてあるのはクレスです。
新鮮なラムソンを摘んできて、すぐに調理したような味がします。
Bärlauchsuppeの典型的な色が視覚的にも綺麗です。
グリーヒェンバイスルに行ったらお試し下さい。