ウィーンはヨーロッパで一番長く続いたハプスブルグ王朝の居城があったかつての帝国の都で、今でもその面影を十分見ることが、そして知ることができる奥が深い街です。
ハプスブルグ宮廷に商品を降ろすことが許された業者がたくさんあり、"k.u.k."の称号が今でも使われています。
ハプスブルグ帝国時代の厨房はフランツ・ヨーゼフ1世の時代、"王宮銀器・食卓調度保管室"という名前でしっかりと組織されていて、大規模な運営状況でした。その辺の様子は王宮の銀器博物館などで知ることができます。
厨房にはデザートの部門もあったのでおいしいケーキなどが作られていましたし、"k.u.k."の称号を持つKonditorei (ケーキ屋さん)などにも多くの注文をしています。
その称号を持つ地元で知られたGerstner(ゲルストナー)がいつもの場所からなくなって、代わりにSULKAになりました。
ウィーンの一番の目抜き通りであるケルントナー通り11-15番地には1847年創業のゲルストナーがありました。
ゲルストナーはエリザベートの"すみれの花の砂糖漬け"を最初に売ったことでも知られ、日本からもこれを買いたいお客様が多くいらっしゃいます。私個人的にはケーキと言えばハイナーが好きですが、観光でケルントナー通りを歩く時にはたいていゲルストナーも皆さんに案内していました。
3月16日、国立オペラ座からシュテファン大聖堂へ向かう時に、このゲルストナーのカラーが赤い色になっていることが遠くから見えました。ゲルストナーはしばらく改装工事と称して店を閉めていたので、やっと改装が終わって営業を再開したのかと思いました。
近くに来てみると、ゲルストナーではなくて上の写真に見られるようにSLUKA(スルカ)だったのです。
この3月16日がちょうどオープニングの日でした。
左上の写真は正面入り口、右上の写真は中の風景で、ゲルストナー時代と同じような配置ですが、店内のカラーはかなり違います。
ちなみにゲルストナーは現在ケルントナー通り51番地、国立オペラ座の真横の建物で営業しています。
以前の青紫のカラーではなく、黄緑色の爽やかな色をシンボルにしています。
こちらはSLUKAのテラスです。もちろん、ここはかつてゲルストナーのテラスでした。
SLUKAはWilhelm Josef Sluka と彼の妻である Josefineによって1891年にオープンし、1900年12月にはk.u.k.の称号を取得し、宮廷から認められています。
SLUKAは市庁舎のほぼ真横であるRathausplatz8番地にあり、ここはリンク道路付近にありながらも、観光的には行きづらいので地元の人達が多く集まり、ケーキもおいしいことで知られています。
そのSLUKAがケルントナー通りに店を構えたわけです。
右上の写真に見られる店のロゴには市庁舎が登場していることがわかります。
ゲルストナーがここからなくなったケルントナー通りはいつもとちょっと違う空気が漂っています。