前回からまた少し時間が経ってしまいましたが、アーチの奥に見える風景シリーズです。
このテーマではアーチ構造を持つ建物などからそのアーチを通して見える奥の景色と共に、アーチ構造の美しさを話題にしていますが、一口にアーチ構造と言っても千差万別です。
前回のアーチの奥に見える風景16ではウィーン大学の中庭を取り上げました。
こちらはバロック様式のアーチ構造の奥に、もうひとつの同じアーチがあり、アーチとアーチの間はちょっとした空間になっていて、バロック様式の電灯が吊るされているのが見えます。アーチのずっと奥は最初は平たんな道ですが、その後坂道になっていて、上って行きます。奥の方に建物が見えていますが、これはベルヴェデーレ宮殿の上宮です。つまりこのアーチはベルヴェデーレ宮殿の下宮だったわけです。このアーチを抜けると、ベルヴェデーレ宮殿の美しい庭園が広がっています。
通常は上宮の方からこちら側を見下ろすパターンが圧倒的に多いので、下宮の方から上に向かって見るということは団体ツアーの場合はほとんどありません。個人でここに来られる方も路面電車Dを使うことが多いでしょうから、その時は上宮の横の入口から入ることになるわけです。
こちら側はRennwegという交通量が多い通りですが、このアーチをくぐると美しい庭園が広がっていて外とは遮断された閑静な雰囲気です。
ベルヴェデーレ宮殿の下宮は上宮よりも少し早い1716年に建築されたバロック様式で、プリンツ・オイゲンのプライベートの住居として使用されていました。
Martino Altmonte(マルティーノ・アルトモンテ)の素晴らしいフレスコ画が見られます。
こちらはウィーンに詳しい方でもすぐにはどこだかわからないと思います。ちょっとした前庭のような通路になっていて、アーチの奥にはさらに中庭空間が広がっているのが見えます。上にはパヴラッチェン的な部分が見えていますね。建物の色も黄色で窓枠が緑ですから何となくシェーンブルン宮殿を思い起こさせます。
この奥に見える中庭は知られざる美しい中庭風景33の1枚目に登場しています。ここのアーチは歩行者のために意図的に作られた廊下のような役割ですね。アーチ部分の通りが少し狭くなっていることもあり、アーチが独立しているように強調されて見えます。
ここはウィーン1区 Johannesgasse 15番地にある歴史的に重要なSavoyensches Damenstift(サボイの女性修道会)の建物です。この通りは車も走れますが、交通量は少なく、人通りも多くなく閑静な地域です。
ここは普段扉が閉まっているのでいつでも中に入ることができるというわけではありませんが、かつての修道院を思わせる大きな作りになっています。
このような外からは全く見えない空間にアーチがあるとちょっとホッとした空気に包まれます。