ウィーンのカフェハウス文化は無形文化遺産にも登録されているぐらいですから伝統と歴史があり、なおかつウィーンの生活に密着しています。
ウィーンには100年以上も営業しているカフェハウスがたくさんあり、それぞれのカフェが誇りを持って存在しているように見えます。
それぞれのカフェにはそれぞれの雰囲気があります。
伝統カフェには年配のボーイさんがタキシードを着て働いている所が多く、またカフェ自体の内装も歴史を感じさせる雰囲気の所が多いですね。
ウィーンに来たら伝統カフェに行って少しゆっくりする時間も大事です。
カフェには様々な種類があり、いわゆる"コーヒー"という単独の名称はまず存在しませんのでそれぞれのカフェの名前を言って注文する習慣となっています。
ウィーンではメランジェが一番好まれているコーヒーで、"ウィーンナーコーヒー"という名称は存在しません。
そういう意味ではこのメランジェがウィーンで一番好まれているコーヒーという意味でのウィーンナーコーヒーと言ってもいいでしょう。
でもウィーンの生活から生まれてきたという意味でのウィーンナーコーヒーだとアインシュペンナーになるでしょうか。
このメランジェとアインシュペンナーぐらいは本場ウィーンで絶対に飲みたいですね。
前置きが長くなりましたが、今日はKapuziner (カプツィーナー)というカフェについて少し紹介します。
最初に書きますがKapuziner (カプツィーナー)とカプチーノは別物です。
Kapuzinerは、一般的にkleiner Mokka もしくはkleiner Schwrzer (クライナー・モカ,クライナー・シュヴァルツァー・・・いわゆるエスプレッソ)に、液状の生クリームを垂らしたものということになっていますが、実際には生クリームで提供されることが多いと思います。
そもそもウィーンではKapuzinerを提供している店は数えるぐらいしか存在しませんので珍しいとも言えます。
以前話題にしたKapuzinerは有名なアンティークのドロテウムのものでしたが、今日ここに掲載したものはSperl(シュペルル)のものです。
コーヒーの濃い色が茶色になり、これがカプチン修道会の修道服の色を思わせます。Kapuzinerはドイツ語でさらにカプチン修道会という意味でもあり、(私はドイツ語をそのまま日本語にしてカプツィーナーと呼んでいます)
ミノリーテン(フランシスコ会)からの枝分かれです。
修行した修道士の頭の色が白くなってきて、そこからKapuzinerというコーヒーが生まれたということになっています。
もちろん修道会が最初で、後からカフェの名前になりました。
Kapuzinerは場所によってはこの写真に見られるように生クリームとチョコレートパウダーが振り掛けられて提供される場合もあります。
これだけ見ているとアインシュペンナーにも似ていますし、生クリームが浮かべられた部分だけを見るとフランツィスカーナーにも似ています。
このCafé SperlのKapuzinerはSperlに実際に置いてあるメニューの説明によれば、"ダブルモッカ(Schwarzer)に生クリーム"という定義がされています。
ウィーンからカフェKapuzinerがイタリアに渡り、これが前述したCappuccino(カプチーノ)となって現在ポピュラーなカフェになっています。
一説によれば、オーストリアの軍人がイタリアに駐留した際、彼らはイタリアでも慣れていたKapuzinerを飲みたかったということです。
そこから時と共に現在のCappuccinoに変わっていきました。
ウィーンではKapuziner もあればCappuccinoもあるわけで、この2つは別物です。