もうクリスマスまで秒読みです。クリスマスツリーが街中に売られ始めるとクリスマスがぐっと近くに感じます。
日本ではちゃんとしたもみの木を飾る習慣はないですから、街中などを徒歩観光すると日本からのお客様は新鮮な光景を目にすることができます。でもこちらでは毎年定番なこの時期の光景です。それぞれのクリスマス市には必ずもみの木が飾られていますね。家庭では市庁舎に飾られているような大きなもみの木(実際にはそれだけ背丈が高いものはもみの木ではなくてヨーロッパトウヒですが)ではありませんが、それでも人間の背丈よりも高いもみの木を買う人も多くいます。うちも毎年もみの木を買いますが、2m30cmぐらいのもみの木を毎年飾っています。 暗くなってしまうとモミの木が見分けにくくなるので明るいうちに買いたいですね。でも毎日仕事で家に帰る頃にはもう暗くなっているので、うちはやっと昨日の午後に買うことができました。
もみの木はTannenbaum(タンネンバウム)とドイツ語で呼ばれますが、特にこのクリスマスツリーのもみの木は、ここオーストリアではChristbaum(クリストバウム)と呼ばれています。
クリスマスプレゼントを持って来るのはサンタクロースではなくChristkind(クリストキント)ですからね。
背丈が高いものから低いもの、全体の形が整っているものなど様々です。
オーストリアは林業も重要な産業であり、計画的な植林をしているため、もみの木がなくなることは絶対にありません。毎年時期になると選ばれたもみの木が切られて売られるために運ばれてきます。
ツリーはネットに包まれて運ばれ、ネットが外されてKreuzと呼ばれる十字型の木に立てられて売られています。
一番上の右の写真ではKreuzの上に立てられて売られているのがよくわかります。
クリスマスツリーが売られている場所には、左上の写真で見られるように円形の物が必ず置かれています。
クリスマスツリー(もみの木)の形はどれも一緒なので適当に大きさと値段で選んですぐに買う・・・ということにはなりません。
実際に飾ることを思い浮かべて、どのくらい緑が密集しているか、真っすぐであるか、均等であるか、ツリーの先が美しいか、全体のシルエットが美しいか・・・などポイントがいくつもありますので選ぶのは結構時間がかかります。
どれを買うか決めたら、Kreuzが欲しいか欲しくないか聞かれますが、どこの家庭にもたいていKreuzの代わりにクリスマスツリーを支える専用のものがあるので普通はKreuzは要りません。
このままツリーを運ぶのは不便ですし、しかもクリスマスまではまだ時間がありますから緑が乾いてはいけないのでもう一度ネットに包むわけです。
そこで前述した左上の写真に見られるこの円形の物が大活躍をします。
ツリーの根本部分からこの円形の中にツリーを通していくと、狭くなっていく円形の中を通りながらツリーの葉が折りたたまれて、同時にツリーがネットでくるまる・・・という中々便利な物です。
この状態で持ち帰り、12月24日の午前中に飾り付けをする時までこのまま外に置いておきます。
12月24日にもみの木の葉が緑であることが重要ですから、あまり早く飾ってしまうと乾燥してしまいます。
うちも昨日買ったネットで包まれたままのツリーが庭のテラスに立てかけてあります。
この時期はクリスマスツリーを持って帰る人の姿が頻繁に見られ、車の上に買ったツリーを乗せて走っている光景もよく見られます。
<クリスマスツリーを飾る習慣>
12月の始めにこのコーナーでクリスマスの習慣について触れています。その時に現在のクリスマスの原型となった3つの習慣を書きましたが、そのひとつである北欧に住んでいた古代ゲルマン民族の「ユール」という冬至の祭りで使われていたのがもみの木です。冬でも葉を枯らさずにいる・・・これが生命の象徴とされていました。
こうした「祭りごとを行う時に、もみの木を飾る」という行為は今のドイツにも伝わり、キリスト教の普及と共にキリスト教でもその習慣を引き継いで行きました。
1419年にドイツのフライブルクで、パン職人の信心会が精霊救貧院にツリーを飾ったことが最初の、クリスマスツリーをクリスマスに飾った記録とされています。
常緑樹を飾ったのはなぜでしょうか?
日が短い冬の暗い闇と戦い、闇を追い払うために人々はその時日が短い太陽を元気づけるために火を燃やし、大地のなかの生命が生き続けていることを示すために、冬でも葉を枯らさずにいる、生命のシンボルでもある常緑樹を飾ったということです。
そのような歴史的背景から現在に見られるクリスマスツリーを飾る習慣があるわけです。