ウィーンにある寅さん公園

ウィーンで撮影された映画はいくつもある中で今でも世界的に根強いファンがたくさんいる「第三の男」が一番知られているでしょうか。この映画は今見ても十分おもしろい昭和24年(1949年)の白黒映画で、カンヌ映画祭でグランプリを受賞しています。第2次大戦後の占領時代のウィーンの街が万華鏡のように登場し、大観覧車ラストシーンに使われた並木道に訪れる方も多く、私も頻繁に御案内していますし、通常の観光でも第三の男の話はよくします。

それはいいとしてウィーンで撮影された日本の映画があることを御存知でしたか?これは日本の特定の方に知られている寅さん映画です。寅さん映画は全48作あり、その中の41作目の男はつらいよ「寅次郎心の旅路」は1989年のウィーン市との協力のもと、ウィーンの街で撮影されていて、しかも寅さんが出演しているシリーズの唯一の海外ロケです。この映画でもウィーンの街が万華鏡のように登場し、しかも前述した「第三の男」の影響も映画の中に少し見られます。

ストーリーを書くと長くなるので、手短にまとめますが、寅さんがエリートサラリーマンの坂口兵馬(柄本明)を助けて、彼の行きたい場所がこのウィーン・・・しかし、九州の湯布院と勘違いしてしまう寅さん、その後二人でKLMオランダ航空でアムステルダム経由でウィーンに到着。坂口はウィーンの街に感動し、逆に全くウィーンの街に興味を示さない寅さん・・・そんな時に私のような現地ガイド役で竹下景子さんが日本のグループを連れて登場し、その可愛らしい彼女に惹かれて一緒にバスに乗り込んで市内観光を・・・。自分の止まっているホテルさえ思い出せない寅さんと竹下景子さんが繰り広げる人情あるシーンは印象的で、ウィーンの街やヴァッハウ渓谷などの名所が多く登場します。しかも、この映画の中には当時のウィーン市長であったHelmut Zilk(ヘルムート・ツィルク)さんも出演しているんですよ。地元ウィーンでは全くと言っていい程知られていない映画であり、尚且つ自分の街の市長さんが日本の映画に出てることなんて地元での関係者以外は誰も知らないでしょうね。そんなことからウィーンの一角には寅さん公園(Tora-San- Park) があります。

この話題は何年も前から話題にしたかったのですが、今頃になってしまいました。

 

 

 

ウィーンは23区で成り立っていますが、ウィーン21区のFloridsdorfと東京の葛飾区は1987年11月2日より姉妹都市関係にあり、そんなことから21区の一角にこのような寅さん公園が作られました。実際に寅さん映画の中で終盤に登場するホイリゲがこの21区の一角にあり、撮影された空間は今でもそのまま残されています。ちなみに私はここのオーナーと数回話をして、自分もお客さんとして行ったこともあります。

余談ですがオーストリアの街やウィーンの区と日本の街や区は多くの姉妹都市関係があるんです。

 

 


 

寅さん公園の入口にはドイツ語と日本語でこの公園の由来について書かれています。しかもここはウィーン市が管理する公園ですから、Stadt Wien のロゴが見られます。地元の人がここをよく散歩していますが、果たしてこれを見てどう思うんでしょうね。

 


 

ここには寅さんが写真のように記念として石板に登場しています。日本の映画ですからどことなく日本庭園的になっていますね。白い小石が見えますが、これは実際には固めてあるものでこの上を歩いても崩れません。カエデが6本ここに植えられています。

 

 


私は寅さんのファンではありませんが、ウィーンの街が大好きなこともあり、「第三の男」やこの「寅次郎心の旅路」で登場する実際のロケ地がどこであったか興味がありましたので、時間を見つけては探し歩いていました。

私はこの寅さん映画のロケ地をどこで撮影されたかウィーンやヴァッハウ渓谷においての全てのシーンを100%ピンポイントで特定できます。

映画で登場するマダムの個人宅の中には入れませんが、マダムの家もどこだかわかります。

(スタジオで撮影されているシーンもあるはずですので、それは別として)

第三の男もほぼどこで撮影されたか特定できます。

 

今年の5月の始め、私のこのホームページから声をかけて頂いた寅さん大ファンのお客様と4日間御一緒しました。

この方は時間を見つけては寅さん映画のロケ地を巡り歩いている方で、寅さんが実際に演じた場所で、しかも映画で見られるシーンと全く同じ角度から撮影するという目的でした。これは私もとても印象に残る楽しい4日間で、寅さん映画の可能な限り全てのシーンでの撮影場所を御案内し、もちろんこの寅さん公園にも行きました。

自分の興味で調べていたことが、こんな形で御協力できるとは思ってもみませんでした。

そのお客様は寅さんロケ地に関するホームページを制作していらっしゃり、ウィーン編は時間を見つけてアップされるということです。

ここでそのホームページを御紹介しますね。http://寅さん.com/index.html

 

 

 

 

※その後2018年2月4日にメールを頂きまして、ウィーン編をアップされました。

 本当におもしろいです!!

http://寅さん.com/sakuhinname.php?id=53