ハプスブルグ帝国の時代は宮廷で様々な料理が作られましたので大きな厨房が当然存在していました。
王宮の銀器博物館などに行くと当時の模様を知ることができます。
様々な部門に分かれていましたの中で、デザート部門もありましたからウィーンにはおいしいケーキ屋さん(Kaffeekonditorei)が今でもたくさんあります。
帝国時代に生まれた料理やデザートは今でも地元で好まれて食べられているものがたくさんあります。
今日話題にするものも帝国時代に生まれたものです。
地元では誰もが知っている有名なもの・・・しかしウィーンに観光で来る方はこの存在すらしらないかもしれません。
これは"Kaiserschmarren"(カイザーシュマレン)というデザートです。
でもボリュームがあるのでデザートではなくてメインで登場する場合もあります。
見た感じはホットケーキをぶつ切りしたようなものですが、パンケーキの中では洗練されたデザートのひとつということになっています。
小麦粉、牛乳、卵、砂糖、塩からの生地をフライパンで中くらいの強さでバターと焼き、
下側が固くなったらスプーンなどでぶつ切りにします。
パウダーシュガーをかけてセイヨウスモモソース(実が入ったジャムのようなもの)と食べるのが定番です。
実際にはバリエーションが多く存在し、セイヨウスモモの代わりに杏子やリンゴなどで提供する所もあります。
上の写真のKaiserschmarrenは有名なケーキ屋さんZauner(ツァウナー)のものです。
Kaiseschmarrenの名前の由来はいくつもの説がありますが以下はそのひとつです。
宮廷のパティシエがエリザベート皇后の要望に合わせて低カロリーのデザートを新しく作った所、エリザベートはボリュームがあったので食べようとはしなかった。
そこで厳格なことで有名な皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が立ち上がってその「Schmarren」をこちらにくれと言って代わりに食べてしまった。
フランツ・ヨーゼフは以下のように言ったそうです。
"Na geb' er mir halt den Schmarren her, den unser Leopold da wieder z'sammenkocht hat".
現在話されているドイツ語では"gib mir den Schmarren"でしょうね。
"Schmarren"は愚かなこと、ばかげた、価値のないこと・・・みたいな意味があります。
"Kaiser"は皇帝という意味です。
Kaiserschmarrenも是非、ウィーンで食べて頂きたいものです。