バロック建築がシェーンブルン宮殿以上に美しいベルヴェデーレ宮殿も一般の団体ツアーでは頻繁に訪れます。
ここからのウィーンの中心部に向かっての眺めが印象的であり、しかもオーストリアギャラリーという重要な美術館になっています。
中でもクリムトの接吻がここにあることは有名です。
その接吻があるベルヴェデーレ上宮の大理石の間にある天井フレスコ画も一見の価値がある素晴らしいものです。
このベルヴェデーレ宮殿は入場観光する時も圧倒的に上宮が多いわけですすが、個人的には
下宮も好きです。
上宮よりも少し早い1716年に建築された下宮ももちろんバロック様式で、プリンツ・オイゲンのプライベートの住居として使用されていましたが、ここにも大理石の間があり、そこの天井フレスコ画も素敵です。
この素晴らしい天井フレスコ画が見られる場所は下宮の中央です。
このフレスコ画は1657年にナポリで生まれ、1745年ウィーンで亡くなったバロック時代の画家Martino Altmonte
(マルティーノ・アルトモンテ)によるものです。
中央フレスコ画の外側の神殿のような部分はMarcantonio ChiariniとGetano Fantiによるものです。
Gaetano Fantiはメルク修道院のフレスコ画も手掛けています。
上宮のフレスコ画と同様に神殿部分は垂直にせり立ったように見えるだまし絵です。
この空間も赤茶色の化粧漆喰大理石装飾で、窓を通して入る光も印象的で、白の装飾やレリーフがこの空間に壮麗さを与えています。
このフレスコ画は空間に対して斜めに描かれていて、画面の上の部分には勝利の車に乗っている太陽の神アポロが見えます。
あけぼのの女神アウローラ(エオストレ)がその前にバラの花を敷き一日の始まりを告げています。
その先頭にはフォスフォラスが松明を持って闇を照らしています。
この昼と夜の対比は生命の循環を象徴しています。
画面の左側の方に雲に乗っているミューズ9人がいます。
これはプリンツ・オイゲンの芸術の学問などを象徴します。
プリンツ・オイゲン本人も画面右側に裸体の若い男性として登場していて、メルクリウスからローマ教皇からの贈り物についての知らせを受けています。
この場所はこの天井のフレスコ画と共に素晴らしいバロック空間を演出しています。