ドヴォルザークが住んだ家

様々な音楽家が足跡を残したウィーンですから、音楽家をテーマにしたら時間がいくらあっても足りません。

同じ彼らが住んだ住居でも、生家や亡くなった家や活躍していた家などいくつもあります。

普段の生活で街中を歩くだけでの歴史を感じることができるウィーンの街です。

 

さて、今日はウィーンに住んでいたことがあまり知られていない有名な作曲家について少し触れましょう。

 

右の写真は"ehem HOTEL GODENES LAMM"(かつての黄金の子羊ホテル)です。

この場所は国立オペラ座からも歩いて行ける、そしてカールス教会にも近い所にあるWieder Hauptstraße7番地です。

この建物は1760年、火災の後に建てられた後期バロック様式で、1823年に上階が追加されたVorstadthausのひとつです。

このホテルの前には馬車の停留所があり当時はEisenstadt、Mödling,Traiskirchenなどに走っていました。

この場所に作曲家のドヴォルザークが住みました。

 


 

アントニン・ドヴォルザーク(Antonín Leopold Dvořák)は1841年9月8日、現在のチェコにあるNelahozevesで生まれました。

当時はチェコはなく、この街はオーストリア帝国に入っていました。

一般的にはチェコを代表する後期ロマン派の作曲家とみなされています。

彼の生家は肉屋と宿屋を営んでいて、父はツィターの名手だったそうで自ら作曲し演奏することがありました。

また彼の伯父もトランペット奏者として知られていたので音楽的な環境というものがあったわけです。

小学校の校長先生にバイオリンを習うとすぐに上達し、9歳の時にはアマチュア楽団のバイオリン奏者となっています。

本来父親はドヴォルザークに肉屋を継がせるつもりだったので、ズロニツェに修行に出した所、そこでドヴォルザークはその街の職業専門学校の校長と出会い、彼からバイオリン、ヴィオラ、音楽理論などを学ぶことになります。

校長は教会のオルガ二ストや小楽団の指揮者も務めていました。

1857年、ドヴォルザークはプラハのオルガン学校に入学します。

 

卒業後ヴィオラ奏者としてホテルやレストランで演奏を行っていましたが、プラハ国民劇場の建設が決まって、その仮劇場のオーケストラヴィオラ奏者になり、そのオーケストラの指揮者がスメタナだったのです。

そのスメタナから教えを受けることになります。

 

在学中から作曲は行っていましたが、最初の交響曲は1865年に作曲されていますが、生前中に演奏されることはありませんでした。

この頃はワーグナーの影響を大きく受けていました。

1871年に作曲活動に専念するためオーケストラを辞めて個人レッスンで生計を立てます。

 

1875年2月にオーストリア政府国家奨学金を受けることになり、結果的に5年間これを受け取りました。

実はこの審査員にブラームスがいたんですね。

ブラームスはドヴォルザークの才能を見い出し、ドヴォルザークは1878年にブラームスに会うためにウィーンを訪れています。

翌年にはブラームスがプラハでドヴォルザークを訪ねています。

ウィーンに留まる機会もありましたが、迷ったドヴォルザークは結果的にプラハに留まりました。

国際的にも成功をしていったドヴォルザークはロンドンにも滞在し、1891年にはアメリカからニューヨーク・ナショナル音楽院の院長職の依頼が来ました。

彼は最初断りますが、結果的に翌年船でニューヨークに行くことになります。

アメリカでも成功を収めはしますが、激務から1895年にはアメリカを去ります。

 

その後プラハ音楽院で教鞭をとますが多くの名誉が与えられました。

ウィーン楽友協会はドヴォルザークを名誉会員に、またフランツ・ヨーゼフ1世即位50周年記念に芸術科学名誉勲章を受けています。

 

1904年5月1日、プラハで62歳で脳出血で亡くなりました。

 

ドヴォルザークは後期ロマン派の作曲家でチャイコフスキーやグリーグと同時代で、ボヘミア学派の創始者のひとりとして、後の音楽家にも大きな影響を与えました。

 


この建物の左側には記念プレートを見ることができます。

ここには"チェコの巨匠であるアントニン・ドヴォルザークが繰り返しここに住んだ"と記されています。

モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ハイドン、ヨハン・シュトラウスなどはウィーンとは切っても切れない関係にありますが、ドヴォルザークもウィーンに住んだことがあるというのもおもしろい事実です。

もっとも当時は今のチェコはありませんでした。

彼が生まれた時はオーストリア帝国、亡くなった時はオーストリア=ハンガリー帝国でしたので、帝国の都であるウィーンに住んだこともうなずけることです。

 

 

 

 

 

 

 

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