このコーナーではすでに多くのカフェハウスを紹介しましたが、今日は久しぶりにウィーンのカフェハウスのひとつを話題にしましょう。
ウィーンは100年以上も続いている伝統的なカフェハウスが多くあり、
"Kaffeehauskultur"(カフェハウス文化)はウィーンの生活の一部となっていて、切っても切り離せない関係にありますし、無形文化遺産にもなっています。
こちらは"Café Schwarzenberg"(カフェ シュヴァルツェンベルク)です。
このカフェは何といってもリンク道路沿いでは一番古いカフェです。
国立オペラ座が旅行者にとっての目安になる大事な場所ですが、そこから近いにもかかわらずあまり観光客が来ない、むしろ地元の常連が多く来るカフェハウスです。
ここに来ると予約席をよく見ます。
このカフェはRaimund Hochleitnerによって1861年6月6日にオープンしていますが、当初の彼のカフェハウスは現在のこの場所ではなく旧市街のRiemergasse2番地にありました。
現在このカフェが入っている建物は、ウィーンの有名なリンク道路が建設されていき、その両側に豪華な建物が色々な様式で建てられていく中で、Wilhelm Westmannというウィーンの建築家により1861年~1863年、絹製造業者Firma Anton Fries & Zeppezauerの賃貸宮殿として建てられました。
そこで1863年、Raimund Hochleitnerが "Café Hochleitner"という名でこの場所にオープンさせます。
彼が1878年55歳でこの世を去った後は、彼の妻Johannnaが引き継ぎます。
その後、何人かの経営者によって運営されますが、1902年に現在の"Café Schwarzenberg"という名前になっています。
このカフェはGriensteidlやCentaralのような文学的客層ではなく、経済界からの人々が多く集まりました。
ウィーン工房の創立者のひとりとして知られるヨーゼフ。ホフマンはここの常連でした。
現在はVIVATIS Holding AGの傘下となっています。
ちなみに美術史博物館のカフェ、Rathauskellerも同じ系列です。
カフェに入ると左側の空間とその奥の長細い空間と別れています。
内装はエレガントな感じですがウィーンのカフェハウスらしい伝統的な空気を感じます。
1980年に外のテラスも含めて改装されましたが、19世紀終わりの雰囲気を残し、調度品も当時の物が多く残されています。
ここは夜、ピアノの生演奏もあり昼間とちょっと雰囲気が変わります。
ここで働いているボーイさんはもちろんタキシードで、プライドを感じます。
ここは場所がちょっと中途半端なので、私個人的にあまりここには行きませんが、ここには知り合いのボーイさんがいて、たまに行くと暖かく迎えてくれます。
もちろんスイーツも充実しています。
ここにはクリムトトルテというものがあり、写真一番手前に見られます。
軽食からウィーン料理までも提供されていて味もいいです。
営業時間は月~金 7:30~24:00,
日、祝日 8:30~24:00と真夜中までオープンしています。
カフェの名前にもなっているSchwarzenbergplatzというよく知られた広場に面してはいますが、入口がせまいのであまり目立ちません。
しかし十分訪れる価値があるウィーンの伝統カフェのひとつです。