ウィーンの今年の夏は35℃を超えた日がたった1日しかなく、去年と比べると暑さは厳しくありませんでした。
しかし、日中の気温が30℃を超えた日は多くあり、8月終わりのこの時期でもまだ結構暑いです。天気のいい日が多いので、澄んだ青空が頻繁に見られウィーンの街がより美しく見えます。気温が高くても日陰に行くと爽やかな風が吹き、そんな風を感じながら街中を歩くのも気持ちがいいです。
青空が広がる今月のある暑い日、ウィーンの旧市街を御案内しながらお客様と歩いていた時、STURM (シュトゥルム)が売られていました。私はあ~、今年もシュトゥルムの季節がやって来たんだな~と思いました。これが出始めると自然の中で咲くシクラメンのように秋を感じます。
STURM (シュトゥルム)とは収穫後のブドウを絞り、そのブドウジュースの発酵が始まった飲み物です。
収穫したブドウをプレスして、発酵させてワインにするわけですが、ブドウジュースの甘さと発酵しているガスが混ざり、さらにアルコールが少し出始めた絶妙の飲み物です。言ってみれば"濁り酒"です。
ブドウジュースの甘さと若干の酸味が混ざり、とても口当たりがいいのですが、発酵している状態なので、飲んだ後も胃の中で発酵を続ける!?というものなので、空きっ腹に飲むと人によっては結構きます。
その時の御客様もシュトゥルムを試されましたが、飲んでからはいい色のお顔になってました。
アルコール度は発酵最中ですから厳密にはわかりませんが、3度~6度ぐらいといわれています。
絞りたてのブドウジュースはTraubenmost (トラウベンモスト), MOSTはいわゆる果物から絞ったジュースの名称であり、この段階でのブドウジュースはTRAUBENMOST(トラウベンモスト)と呼ばれています。TRAUBENMOSTも場所によってはアルコールが少し入ってる場合もあります。
この時期場所によっては、MOSTとSTURMの2つが提供されています。
左上の写真は今年8月19日カーレンベルクで、右の写真はウィーン中心部Freyungで8月23日の撮影です。
8月後半に入ってもうシュトゥルムが出てきましたから、これに関しては収穫が早かったんですね。
売られている瓶の中をよく見ると発酵中であることがよくわかります。たくさんの泡が見られ、それが上へ上昇しています。このような状態ですから瓶には完全に蓋をしません。途中で瓶が破裂することもあるのであまり遠くへ運ぶこともしない方がいいですね。そのためワインと違って日本に持ち帰ることは残念ながらできません。
ウィーンの有名なレストランやカフェなどでもこの時期はシュトゥルムを提供する所がたくさんあります。
市場や街中の出店などでは瓶単位で買って行くことができますが、その場で飲むこともできます。
たいてい1/4Lの量で提供されていて、その場で気軽に飲むことができます。
ウィーンの街中ではたいてい郊外のワイン製造農家からシュトゥルムを運んで売るわけですが、郊外に行くとワイン製造農家で直接シュトゥルムが売られています。郊外にはブドウ畑の中で飲める店も多くあるのでハイキングなどのついでにホイリゲに足を延ばす人がたくさんいます。