ちょっと時間が経ってしまいましたが、今年の春に久しぶりにモーツァルトのお墓に行きました。
前回ここに来たのはまだ寒かったのでたぶん3~4ヶ月ぶりではなかったかた思います。
ウィーンでお墓と言えばたいてい中央墓地が最初に挙がります。
ここはたくさんの作曲家が眠っていますので音楽に興味がある方にとってはとても重要な場所です。
また中央墓地は映画「第三の男」のラストシーンに登場する並木道があることでも有名です。
モーツァルトのお墓は聖マルクス霊園にあり、中央墓地よりも中心からは近いですが、かなり行きにくい場所にあります。
中央墓地の開放的な雰囲気とは違い、ここは人も少なくこじんまりしています。
聖マルクス霊園(St.Marx)は1784年から約90年間墓地として使われました。
1874年に中央墓地ができるにあたって、周辺墓地と同様に閉鎖されるはずでしたが、当時のヨーロッパで貴重な
「ビーダーマイヤー様式の墓地」ということから残されました。
しかし墓地の機能はなく、墓石がそのまま並べられた公園としてウィーン市が管理しています。
中に入ってマロニエが植えられている中央並木道を上に歩いて行くと、両側にはたくさんの墓石が並んでいるのがわかります。
途中、右上の写真に見られるようにウィーンの森のような雰囲気です。
奥に咲いているのはライラックです。(前述した通り、だいぶ時間が経っていますが・・・)
並木道の上り坂をしばらく歩くと左手奥の方に右上の写真に見られるようにモーツァルトのお墓がひっそりと置かれています。
モーツァルトが亡くなった時、全盛期の頃とは逆に忘れ去られて無名状態で、多くの借金が残っていました。
そこで3等級という当時の庶民的な埋葬方法が選ばれました。
これは大きな穴の中にたくさんの遺体を麻袋に入れて、(もしくは麻布にくるまれて)投げ込んで、上から石灰をかけて終わり・・・数年後再びそこには掘り返して別の遺体を埋葬する・・・という質素なスタイルでした。
そもそも19世紀まで、貴族や聖職者以外には碑を立てるという習慣はありませんでした。
モーツァルトが亡くなった後、未亡人となったコンスタンツェや、後彼女が後再婚するニッセン等の努力からモーツァルトが知られるようになっていきます。
その後ウィーン市がモーツァルトの埋葬場所を探すようになりましたが、遺骨がバラバラで判別不可能でした。
そこで・・・
モーツァルトがほぼ埋葬されたであろう・・・という場所に記念碑を立てました。
その記念碑がモーツァルト没後100年後、つまり1891年にすでに1874年よりオープンしていた大きな中央墓地に移動したのです。
記念碑が持ってかれたここSt.Marx には新たにこの写真のように天使がたたずむ悲しげなお墓が作られました。
年間を通して中央墓地ほど多くはありませんが、モーツァルトのお墓を御案内することもよくあります。
※モーツァルトの埋葬状況については今後見解が変わる可能性もあります