ウィーンにあるもうひとつのギリシャ正教会

ウィーンの旧市街はウィーン歴史地区として丸ごと世界遺産に登録されていて大変奥が深い部分です。

本当はこの旧市街地をゆっくり気の向くままに歩いて頂きたいですね。

様々な発見があります。

その旧市街地の一角にFleischmarktという通りがあり、そこにはウィーン最古のレストランであるグリーヒェンバイスルがあります。

この界隈はGriechenviertel (グリーヒェンフィアテル)と言われ、「ギリシャ人街」的な意味でしょうか。

この地域には17世紀中頃からオリエント貿易を営むギリシャ人の商人が多く住み始めたことからGriechenviertelと呼ばれました。

ここにはウィーンで有名なギリシャ正教会が建っていますが、実はそのそばにもうひとつのギリシャ正教会が目立たないように建っています。

 

このギリシャ正教会はGeorgskirche(ゲオルグ教会)という名称で、前述したFleischmarktから分かれたGriechengasseを経由し、そこの階段を降りてきたHafnersteigにあります。

あまり教会っぽくないのでおそらくこの建物の前を歩いても教会とは気づかないと思います。

しかしこのHafnersteigを少し歩いて離れた所から観察すればちゃんと教会であることがわかります。

ここはオーストリアギリシャ正教会においてのコンスタンティノープル総主教(エキュメニカル総主教)の代表教会です。 エキュメニカル総主教はカトリックのローマ教皇に当たるわけですが、ローマ教皇のように絶対的権力はなく、名誉的なものです。

 

教会の名になっているSt.Georgという教区があり、1709年には小さなギリシャ礼拝堂が建物の中に作られていました。

1723年にSt.Georgは皇帝からの許可をもらって教会を作る権利を得ました。

ここには"Küss den kleinen Pfennig"というガストハウスがあり、そこを1802年になってやっと入手することができ、その場所に1806年にオーストリアの建築家でウィーンで亡くなったFranz Wipplinger(1760~1812)によってこの教会が建てられました。

FleischmarktにあるGriechenkirche zur Heiligen Dreifaltigkeitはハプスブルグ家に関わる多くの信者がいましたが、こちらのSt.Georgはオスマン帝国とむしろ関係がありました。

1898年多く寄付が集まったおかげて、オーストリアの建築家Ludwig Tischlerによって改築が行われ、鐘楼が追加されました。

第2次大戦で少し被害がありましたが、それも修復されて現在に至ります。

 

教会の入口は写真で見られるこの正面のように見えますが、実はここは一般の店が入っていてこのHafnersteig側ではありません。

この教会の三角の屋根の部分はまさしくギリシャ神殿を思わせるスタイルで、ドラゴンをやっつけている聖ゲオルグが描写されています。

 

教会内部の雰囲気です。

ギリシャ正教を知っている人であればごく当たり前の内部空間ですが、知らない人から見れば外から見た教会の姿からはちょっと想像できない内部空間です。

教会の入口はHafnersteigではなく、Griechengasseです。

1空間構造で天井ドームが印象的な典型的ギリシャ正教会です。

ギリシャ正教会ではカトリック教会とは違い祭壇がなく、完全に仕切られています。

ギリシャ正教では立ってミサを行います。パイプオルガンもなく椅子もありません。

聖人の像も全くなく、"イコン"といわれる聖人画がたくさん見られます。

 

ギリシャ正教は、原始教会から枝分かれし、前述した4つの都市が東方教会の

ベースを作り、4~5世紀頃にかけて形成されました。

 

カトリック以上に神秘主義的傾向が強く、教義として聖書と聖伝を遵守するわけですが、聖伝は1世紀以来の原始教会やその後の初期キリスト教から継承されたとされています。

つまり正統にキリスト教の伝統を受け継いでいる・・・なので正教会というわけです。

 


 

では最後におまけとしてサントリーニ島の夕日に照らされたフィロステファ二です!

サントリーニと言えば夕日で有名なイアの街があります。

この場所のこのアングルはイアではありませんが、ギリシャやサントリーニ島を宣伝するポスターなどであまりにも有名です。

以前に飛行機で休暇に行く時のストレスというタイトルで書いた最後に3枚のギリシャでの写真を掲載していますのでそちらも御覧下さい。

 

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